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米Sunマクニーリ氏「デリバーサービスは、IT業界の地形を大きく変える」

~Oracle OpenWorld 基調講演

 米サンフランシスコにて12月6日から9日まで開催されている「Oracle OpenWorld」において12月8日(米国時間)、米Sun Microsystems 会長兼CEOのスコット・マクニーリ氏が、「サンとオラクル:信頼あるネットワーク・コンピューティング」をテーマに基調講演を行った。


米Sun Microsystems 会長兼CEO スコット・マクニーリ氏
 SunはOracleにとって20年来のパートナーで、Oracle OpenWorldではマクニーリ氏の講演が恒例となっている。マクニーリ氏は講演中にトップ10を発表するが、今回はHPのPC事業スピンオフ、IntelのItanium撤退などに言及した。

 ITを導入する方法にはいくつかの種類がある。コンポーネントを組み合わせるカスタム開発は「予算オーバーになり時間がかかりすぎる」。そしてIntel、EMC、Red Hatなど市販部品の組み合わせによるベストブリード。これも「フェンダーの色が7つもある自動車と同じで、満足には走らない」と一刀両断。そしてSunでは、メインフレームホスティング、セキュアポータル、メール、グリッドなどさまざまなニーズに応える50種類のリファレンスに基づいて、ハードウェアまでをパッケージとして提供している。その提供方法にも2種類ある。ひとつはマネージドサービス、そしてデリバーサービスだ。

 デリバーサービスは、ハードウェアリソースまでを時間単位で課金するユーティリティモデルといえるもの。「IBMはこうした変化を望まないだろうが、これはIT業界の地形を大きく変えるものだ」としたマクニーリ氏は、今後Sunではこうした提供形態を目指していくとし、将来は「1時間1ドルで、Solaris、Java、Linuxを使えるようになる」と語った。

 マクニーリ氏自ら「われわれはグリッドのベストプラットフォーム」と述べ、今後もOracleとの関係に投資を続けると明言した。しかしOracleでは近年、サーバーハードウェアのパートナーとしてはDellを最重要視している。「ラリーだってマイケル(デル)と仲良くしている、だから私がスティーブ(バルマー)と会ってもいいだろう」。

 MicrosoftとSunの和解劇は、IT業界に驚きを持って迎えられた。「世界には実質的に.NETとJavaの2つのデベロッパーコミュニティしかない」としたマクニーリ氏は、LDAPとActive Directoryの連携を手始めとして「このスタックをエンタープライズでどう組み合わせるかが現実的な課題だ」とした。


 「SPARCでさえ、誰でも使えるようスペックを公開しており、実質的にはオープンだ。またオープンインターフェイスなSolarisなら、IntelでもAMDでもSPARCでも使える」とし、こうしたスタンスをSun独自のものとしたマクニーリ氏。BSDやTCP/IPを例に挙げ「オープンソースにもっとも貢献した団体はIBMではなくバークレー大学だ」とした同氏は「IBMはすでに死に絶えた技術だけをオープンソースとして公開している。我々が公開するのはLooking Grassなどの新しい技術だけ」と語り、Sunにとってもオープンソースコミュニティは貴重な資産だとした。

 続いてRed Hatと比較して、数週間前に発表されたSolaris 10の優位を強調、「データセンターの複雑性を排除し、コンテンツやアプリケーションに集中できるようにする。またオープンソースの環境もサポートし、来四半期にはTrusted Solarisも標準的な環境でサポートすることで、優れたセキュリティも実現できる」とした。

 さらにx86の2Way Xeon 3.2GHzサーバーとOS、ソフトウェアまでを含む年間あたりの導入+運用コストを比較した場合、IBM+Red HatやDell+MicrosoftよりSun+Javaの方がコストが低いとした。「パッチを無償で提供し、サポートも24時間提供している」とした。Sunでは現在1~4WayのOpteronサーバーを発売しており、「来年は8Wayサーバーを発売する」という。そして「デュアルコアCPUが出れば、さらにスケーラビリティを拡大できるとした。


Red HatとSolarisの比較 Sun+AMD+Javaの環境では、導入と年間運用コストが数分の1になる SPARCとOpteron、Xeon/Itaniumの比較

 次に現在研究開発中のNiagara CPUチップを取り出したマクニーリ氏。32本のスレッドを56Wの消費電力で実現するこのCPUでは「1スレッドあたりの消費電力は、数ワットに抑えられる」とそのメリットを強調、グリッド環境にも最適と述べ、さらに次世代のRockではマルチスレッドの問題を解決するとした。

 今後のクライアント環境からは、Javaチップとカードリーダーだけが残るとした。「スマートカードをSun Rayにいれれば、自宅でもどこでも自分のデスクトップが現れる。社内の作業環境は半分以上ホームレスになる。シンクライアントこそが正しいモデル」とした。またJavaにはウイルスもなく、すべての環境を集中管理できる点も利点とした。


Javaカードを手にするマクニーリ氏。「Sun Rayこそが正しいクライアント環境のモデルだ」 開発中のCPU“Niagara”を手にするマクニーリ氏。「スレッドあたりの消費電力はわずか数ワット」


URL
  米Oracle
  http://www.oracle.com/
  Oracle OpenWorld
  http://www.oracle.com/openworld/
  米Sun Microsystems
  http://www.sun.com/


( 岩崎 宰守 )
2004/12/10 18:39

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