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情報統合を実現する新時代のアプリケーション「Oracle EBS 11i.10」

~Oracle OpenWorld 基調講演

 米サンフランシスコにて12月6日から9日まで開催された「Oracle OpenWorld」において12月6日(米国時間)、Oracle E-Business Suiteを統括するアプリケーション開発部門エグゼクティブバイスプレジデントのロン・ウォール氏が、「情報主導型企業」をテーマに基調講演を行った。


米Oracle アプリケーション開発部門エグゼクティブ・バイスプレジデント ロン・ウォール氏
 アプリケーションスイートであるOracle EBS 11i.10には、オープン標準技術に基づいてERPもCRMも統合され、すべての情報は豊富なデータモデルを使って単一のデータベースで扱われる。同氏は「情報管理の効率が改善できるインフォメーション時代のアプリケーション」とした。

 同氏は公共、財務管理、ヘルスケアとなどの業種を挙げ、最新版となるOracle EBS 11i.10に含まれる業種別ソリューションでは「トランザクションデータがすべてのレポジトリと一体化しており、カルテなどのプロセスを自動化して人手によるミスを防止し、さらにその管理も集中できるため業務を効率化できる。よりよい治療を患者に与えることにもつながる」とした。

 また「これまでのシステムでは、トランザクションをデータウェアハウスに移した後に分析されていたため、完全なデータとはいえなかった」とし、Oracle EBSでは「直接トランザクションの中にデータベースを入れ込む形となり、パフォーマンスもよくなる」と述べた。

 さらにビジネスインテリジェンス(BI)の機能では、売上や見込み客、人事、営業、マーケティング、経費管理などのKPI(業績指標)がパッケージ化されており、ビジネスフローにひも付けた複数のレベルから詳細を表示できる。同氏は「役職に応じて必要なダッシュボードを分析する“Daily BI”が実現する」とし、約6週間で導入可能とも語った。

 続いて同氏は「Oracle EBSを異機種混在環境でも使えることを目指す」とし、11i.10でサポートされる新機能となるBusiness Process Management(BPM)とBusiness Activity Monitoring(BAM)を紹介した。イベント中に発表された「Oracle Application Server 10g R2」では、インテグレーションの機能が大幅に強化されており、11i.10はこれをシステム基盤としている。

 BPMでは、ビジネスプロセスの業界標準「BPEL」を新たにサポートしている。またあわせて提供されるデータハブでは、300以上のシステムに適用できる接続アダプタ、150のメッセージング仕様をサポートしている。

 これらが「数多くのシステム間における複数のステップを調整する」役割を果たすとともに、Webサービスやアプリケーションを統合したビジネスプロセスを構築できるインテグレーションの機能を提供する。一方BAMは、BPMによりアプリケーションを統合したビジネスプロセスのレベルで、その死活をモニタリングし、環境全体の管理を自動化するものだ。


データハブを用いて各種の企業アプリケーションを連携できる 標準仕様であるBPELによりビジネスプロセスを統合する「BPEL Process Manager」 統合したビジネスプロセスを管理するBAMの機能

 データハブ製品としては、顧客データを統合する「Customer Data Hub」に加えて、官公庁・自治体向けに組織間の市民データを統一する「Citizen Data Hub」、金融業界向けに法的書類、マネジメントレポート、パートナーシップ書類などを一本化し、経理計算を自動化する「Financial Consolidation Hub」、クレジットや口座といったアカウント情報のほか、法規制の対象となる情報も一元管理する「Financial Services Accounting Hub」も今回発表されている。同氏はデータハブについて「複数システムをつなぐ新しいインテグレーション技術として、最高の情報を低いコストで提供できる」とした。


公共機関向けに組織間で市民情報を統合する「Citizen Data Hub」 製造業でのERP、マーケティング、製品情報を一元化する「Product Data Hub」 クレジットや口座といったアカウント情報を一元化する「Financial Services Accounting Hub」

 最後に同氏は、開発に7000人年を費やしたOracle EBSでは「製品や顧客のデータをいくつかの分野で自動化することは大きなメリットになる」とし、その稼働環境として、Linuxの割合が増加していることに触れ、「低いコストでよりよいパフォーマンスを実現できる」と語った。



URL
  米Oracle
  http://www.oracle.com/
  Oracle OpenWorld
  http://www.oracle.com/openworld/


( 岩崎 宰守 )
2004/12/13 18:09

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