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「ミッションクリティカルもWindows」マイクロソフトのエンタープライズ事業戦略


 マイクロソフト株式会社は12月15日、エンタープライズ事業におけるビジネス戦略についてのプレス向け説明会を開催した。


マイクロソフト株式会社 執行役常務 エンタープライズビジネス担当 平井康文氏

マイクロソフトの提供するマイグレーションメリット
 クライアントPC市場では大きなシェアを誇るマイクロソフトだが、特に大手企業向けの市場では「チャレンジャーとしての立場」(マイクロソフト株式会社 執行役常務 エンタープライズビジネス担当 平井康文氏)といえる。

 2003年に日本IBMからマイクロソフトへと移籍し、主に大手企業・官公庁向けの事業を担当している平井氏は、「これまでのようにソフトウェア単体ではなく、製品の組み合わせにより、課題を解決できるソリューションで価値を提供していきたい」とした。

 3月に平井氏は、3つの分野にフォーカスして、その価値を訴えていくとした。そのひとつがOffice Systemだ。「日本では、欧米に比べ、ホワイトカラーの生産性向上の余地がある」とした同氏は、「チームの情報共有では、期待と現実のギャップがある」とし、Office Systemでは、フロントエンドとバックエンドのビジネスプロセスをWebサービスで連携するとともに、リアルタイムコミュニケーションにより、生産性を阻害する要因を解消できるとした。

 2つめは、NT、レガシー、UNIX、データベースのマイグレーション。IDC Japanの調査では、2004年第3四半期のサーバー出荷金額では、WindowsがUNIXを上回り、Windowsサーバーは台数でも77%を占めたほか、SAP新規導入時の稼働プラットフォームとしても、72%と年間10%シェアがアップした。またワールドワイドでの2003年のリレーショナルデータベース製品の成長率でも、SQL Serverは11.1%でトップとなっており、さらに開発環境をみても、2003年には.NETがJavaを逆転している。

 IBMでLotus事業のトップを務めた平井氏だが、Notesマイグレーションにも言及した。「Notesは、日本でグループウェアを広めた功績など、製品としては素晴らしいもの」とした同氏だが、独自形式のデータベース、スクリプトがネックとなり、現在Javaへの移行が進められていることから、「Exchangeとの比較で、企業では同じスタート地点からの評価になっている」とした。またマイクロソフトでは、ExchangeだけではなくSharepoint Portal ServerやLive Communication Serverなどの組み合わせにより、用途にあわせた製品を提供していくとした。

 3つめはセキュリティへの取り組みだ。11月のWindows XP SP2のリリースに加え、12月15日にはWindows Server 2003 SP1のRC1提供も開始している。このほか「5~6000万の予算をかけて」オンサイトセミナーやトレーニングなども継続して行っている。


2005年のフォーカス分野はポータル&コラボレーション、ビジネスインテリジェンス、システムマネジメントの3つ

ソフトの再利用とアプリケーション統合の課題を解決するSOA
 2005年には、「Active Directoryをスターティングポイントに」、ポータル&コラボレーション、ビジネスインテリジェンス、システムマネジメントを柱にした事業を展開していく。また2005年の展望として、SOA(サービス思考アーキテクチャ)を前面に打ち出していくとした。

 SOAを「ソフトの再利用とアプリケーション統合の課題を解決するもの」とした平井氏。ソフトウェアコンポーネントの開発についてはVisual Studioで、システム間を連携するエンタープライズサービスバスについてはBizTalk Serverでカバーできるとした同氏は、「Officeをフロントエンドとしてこれをつなぐことができる」と述べ、こうしたSOAを実現するすべてのフレームワークを提供できる点がマイクロソフトの強みとした。

 またミッションクリティカル領域へのWindows Serverの適用についても、すでにいくつかの事例が出てきている。平井氏は「直属組織としてMC事業推進部を12月1日付けで設立した」ことを発表した。MC事業推進部には、メインフレームやOracle、UNIXの経験者が参加しており、「まずは少数精鋭で、ベストエフォート型から性能保証型の提案ができるよう、99.999%の可用性実現を目指す」とし、同社内にフィールドテクノロジーラボの設置も検討中とした。実際の導入にあたっては、パートナーとの提携を前提としており、マイクロソフトでは「パートナーに対してプライムの責任を果たしていく」と述べた。

 MCとはミッションクリティカルを意味しており、「短期的なビジネスゴールを目指すのではなく、半年でも一年でもかけて、長期的リレーションシップで製品価値を評価してもらう」スタンスになる。

 このため、システムの計画、設計といったフェーズを担当するコンサルティング本部と、展開、運用を担うエンタープライズサポート本部の連携も強めるほか、「顔の見えるマイクロソフトを演出」すべく、顧客ごとの担当営業により結びつきを強め、ユーザー企業ごとにパーソナライズされたポータル「Enterprise Connection」によるWebマーケティングなどの取り組みも行っていくとした。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/

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  ・ マイクロソフト、2004年のエンタープライズ戦略は「顔の見えるマイクロソフト」(2004/03/29)


( 岩崎 宰守 )
2004/12/15 18:57

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