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富士通、プラットフォームソリューションセンターを公開
平野センター長代理に同拠点の狙いを聞く
富士通が、12月9日に、東京・浜松町にオープンしたPlatform Solution Center(プラットフォームソリューションセンター)の内部を本誌に公開。同時に、同センターの平野一雄センター長代理がインタビューに応じてくれた。
同センターは、280台のサーバー、35台のストレージをはじめ各種ネットワーク機器およびソフトウェア製品を用意。さらに250社800製品のパートナーのソフト、周辺機器などを用意しており、これらの製品によって構成される機器の検証が可能な一大検証拠点となっている。富士通では、プラットフォーム事業のなかに、サーバー、クライアント、ストレージといったハードウェアだけでなく、ミドルウェア製品群などで構成される「TRIOLE」も含んでおり、同拠点は、ハード、ミドルウェア、テンプレートソフトなどを包含した同社プラットフォーム事業における戦略拠点と位置づけられることになる。
プラットフォームソリューションセンター・平野一雄センター長代理に、「ハードとソフトを1カ所で検証できるワンストップ環境を備えた国内最大規模の検証拠点」とする、同拠点の狙いを聞いた。
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ハード、ソフトのワンストップ検証拠点
センター長代理の平野一雄氏
─プラットフォームソリューションセンターを新設した狙いはなんですか。
平野氏
これまで新宿に設置していたPRIMEPOWER CENTER(プライムパワーセンター)、富士通IAソリューションセンター、そして新横浜のソフトウェアの検証拠点、川崎工場や沼津工場の一部部署を終結した拠点が今回のプラットフォームソリューションセンターです。ハードとソフトを一本化したワンストップでの検証センターを構築したかったこと、そして、従来のPRIMEPOWER CENTERやIAソリューションセンターが手狭になり、2週間や1カ月以上も待っていただくことも増えてきた。それを改善するという意味もあります。特に、新製品が発表された直後というのは多くのパートナー、ユーザーからお問い合わせをいただき、稼働率が100%という日が続くことになっていた。プラットフォームソリューションセンターでは、検証ルームや機器を数多く揃えて、とにかく余裕を持って多くの方に利用していただくことを前提に考えています。
─実際にどれぐらいの案件の検証が可能なのでしょうか。
平野氏
これまでは年間600~700件程度の検証が可能でしたが、これを年間1200件程度まで増やしたいと考えています。また、急な案件が飛び込んでも、すぐに使えるように、常に準備をしておくことも必要だと考えています。社長の黒川からは「当日に申し込みがあっても使えるように準備をしておけ」と言われていますが、それでは、逆に使う側が戸惑ってしまうと思いますから(笑)、少なくとも翌日からは使えるようにしておきます。それと、従来は土日、祝日はお休みにして、その間に翌週の検証案件のための準備をしておくという形でしたが、近いうちに土日も稼働できるようにしたいと考えています。また海外との連動も増えれば、24時間での稼働体制ということも視野に入れなくてはなりません。これも、黒川からは「年間1500件はやれ」と言われていますので、それに向けて準備を進めているところです。
東京・浜松町の世界貿易センタービルに入居している
─浜松町に設置した理由は。
平野氏
本社がある汐留や、再開発が進んでいる品川ということも考えましたが、駅に近く、パートナーやお客様に来ていただきやすいということを考慮しました。浜松町の世界貿易センタービルですと、多くの人にすぐにわかってもらえますから、告知をするのにも便利ですね。もちろん、社内的な事情としては、本社に近い、あるいは蒲田のソフトウェア/サービス部隊の拠点である富士通ソリューションスクエアまで電車一本でいけるという点も考慮しました。ただ、私の希望としては、ぜひ富士通の営業部門や、パートナー各社の営業の方々にも、営業ツールのひとつとして、この拠点を活用してもらいたい。そこでも浜松町の駅前という立地が生きると思います。
─国内最大規模の拠点だということですが。
平野氏
サーバーは、IAサーバー180台をはじめ、メインフレームのGSシリーズを含めて280台を用意していますし、ストレージも35台を設置しています。他社のサーバー、スレトージを含めて、常に最新のものを用意し、新たなサーバーの環境で、しかも、混在環境で検証していただけるようにしています。一方、ソフトに関しても、当社のTRIOLEを構成する製品群や、パートナーのパッケージソフトウェアなどを拠点内に用意しています。基本的には、センター内部は独自のネットワークを構築していますし、使用したデータなどはすべてその場で消去できるようになっています。一方で、沼津工場のTRIOLE PIセンターや、大阪の関西システムラボラトリ、海外のコンピテンシーセンターと連動した検証も可能であり、これらを結んだネットワークは、VPNで保護された環境で接続できますから、セキュリティ対策も万全です。ハード、ソフト、ネットワークに関して、ここまでの体制を用意している検証拠点はほかにはないと自負しています。
─すべてプラットフォーム事業部門が運営していくのですか。
平野氏
これだけの施設ですから、プラットフォーム事業部門だけで利用するというのはもったいない(笑)。ネットワークサービス事業部門、アウトソーシング事業部門、システムサポート事業部門などと一緒に活用していくことで、さらに効果が発揮できる。例えば、アウトソーシング部門は、これまでであれば、館林のデータセンターにお客様をお連れするしかなかった。しかし、そこでは実際にお客様のデータを預かってシステムが稼働しているわけですから、すべてをお見せしたり、検証に利用するということはできなかった。しかも、すべてが最新の機器ではなく、実際に契約した段階の機器が利用されているという点もあった。ところが、プラットフォームソリューションセンターであれば、最新の機器を使いながら、アウトソーシング案件の検証もシミュレーションできるようになる。オンデマンド型の提案もここで可能になるのです。
─プラットフォーム事業部門以外の社員も常駐しているのですか。
平野氏
プラットフォームソリューションセンターは、30階、29階の2フロアで構成されていますが、25階に約300人の社員が常駐しています。このなかには、他の部門の社員もいます。一方で、2003年春から、プラットフォーム全般をカバーする専任コンサルタントの育成を開始しました。現在、30人程度のエキスパートが育成でき、このメンバーが25階に常駐して、パートナー支援、ユーザー支援を行っています。また、サーバーやミドルウェアといった各ビジネスユニットごとに育成した技術者も常駐している。これまでは、組織的には一緒でも、物理的に一緒の場所にいるというわけではなかった。それが、今回のプラットフォームソリューションセンターの新設で、物理的にも同居し、連動が図りやすくなった。プラットフォーム事業の販売推進部門や、TRIOLEの販売推進部門などの一部社員もここにおり、その点での直接連動や、彼らを通じて別の拠点との連動も行いやすくなったといえます。
─これからプラットフォームソリューションセンターをどう運営していきますか。
平野氏
ハード、ソフトを一本化した検証拠点ができたことでさまざまなノウハウが構築ができるようになると自負しています。これを富士通の強みにつなげていきたいと考えています。また、検証のみならず、教育やコンサルティング、そして営業の拠点としても活用できる場所だといえます。これまでの新宿や横浜の拠点にはなかった、経営トップの方々に来ていただいても時間をかけて説明できる環境も整った。さらに、この規模だからこそできることもあると思います。とにかく多くの方々に使っていただけるセンターにしたいと考えています。
富士通プラットフォームソリューションセンターの入口。世界貿易センタービルの30階にある
受付スペースはかなり余裕を持ったスペースとなっている
サードパーティの製品も数多く取り揃え、検証できるようになっているのも富士通プラットフォームソリューションセンターの特徴
応接室。新宿にセンターを設置していた時代には、ユーザー企業のトップが訪れても通す部屋がなかったとか。ユーザー企業の経営層が関心を示すことが多くなったことの表れか
ブリーフィングルームでは、検証結果などをサーバー、ストレージとネットワークで接続した環境で利用できる
ブリーフィングルームの奥は、サーバールーム
ボタンひとつで、サーバールームが見えるようになる
サーバールームは指紋認証で出入室が管理される
検証用の機器が配置されたサーバールームには許可された人しか入れない
サーバー、ストレージの数は国内最大規模となる
他社製サーバー、ストレージなども用意されており、混在環境での検証が可能
検証のために利用できるバリデーションルーム
9階は検証のための部屋が数多く用意されている。左側のコンサルテーションルームもバリデーションルームとして活用できるようになっている
セミナールームでは随時、セミナーが開催されている
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URL
富士通株式会社
http://jp.fujitsu.com/
Platform Solution Center
http://triole.fujitsu.com/jp/psc/
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