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トレンドマイクロ、「確実に顧客の手に届ける」新事業戦略

シマンテックとベリタスの合併についても言及

1月に代表取締役社長兼CEOに就任したエバ・チェン氏

トレンドマイクロが分類した顧客のセグメントと行動特徴
 トレンドマイクロ株式会社は1月6日、同社の共同創設者で前CTOのエバ・チェン氏の代表取締役社長兼CEO就任と、2005年以降の戦略を説明する記者会見を開催した。なお、前社長兼CEOのスティーブ・チャン氏は代表取締役会長に就任している。

 チャン氏は今後5年間にわたる同社のミッションとして、(1)顧客のセグメントごとに応じた製品やサービスを提供し、それぞれのデジタル業務の継続を支援していくこと、(2)次々と現れる新たな脅威に対して製品や技術のタイムリーなアップデートを行っていくこと、(3)情報ネットワークにセキュリティを組み込んで統合化し、あらゆる脅威に対応していくこと、の3つを挙げた。

 (1)は大企業から中小企業、個人までのエンドユーザーに対して、それぞれのセグメント別に最適な製品やサービスを用意し、それぞれのネットワーク利用を保護していくというもの。「今や子供が学校の宿題にネットを使っている時代。これも一種のデジタル業務であり、誰もがこれに依存している」と説明するチャン氏は、社長就任と同時に大規模な組織改革を行った。企業向けではVLE(Very Large Enterprise)、大規模企業、中堅企業、小規模企業に分類し、それぞれのニーズに合った製品・サービスを提供していくという。

 (3)についてはPCやサーバーなどに限らず、ネットワークに接続するすべてのデバイスに対してセキュリティ技術を提供していくことを指している。「例えばスパイウェアによる被害は2004年に急増し認知も高まった。今後は携帯電話やVoIPにも新たな脅威が生まれデジタル業務を中断させる恐れがある」(チェン氏)。さらに執行役員日本代表の大三川彰彦氏は「あるDVDレコーダーを利用したなりすましなど、デジタル家電が利用された被害も起きている」と補足、従来より幅広い分野にセキュリティ事業を展開していく考えを示した。


シマンテックとベリタスの合併は「我々にとってチャンス」

 同社と幅広い分野で競合するシマンテックは、12月に発表したベリタスソフトウェアとの合併など、2003年以降、大規模なM&A戦略で事業領域を拡大している。これに対しチェン氏はトレンドマイクロについて「消防士のように予測不可能な事態に対応できる文化が根付いており、学習できる組織」とし、ウイルス対策とコンテンツセキュリティをはじめとした同社のコアコンピタンスを強調、シマンテックと対照的な姿勢を示した。

 チェン氏はシマンテックとベリタスの合併について「我々にとってチャンスだととらえている。シマンテックは事業領域を拡大している一方で、製品やサービスが顧客の手にわたる部分に注力しておらず、満足されていない。我々は確実に顧客の手に届けることを第一のミッションにしている」とコメント。事業領域の拡大よりもコアコンピタンスに集中し、他社とのアライアンスなどによって製品やサービスの提供に注力していく構えだ。



URL
  トレンドマイクロ株式会社
  http://www.trendmicro.co.jp/

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( 朝夷 剛士 )
2005/01/06 15:50

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