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シトリックス新社長、MetaFrameの利用拡大に自信


代表取締役社長 大古俊輔氏

アクセスインフラ市場の成長見込
 1月よりシトリックス・システムズ・ジャパン株式会社(以下、シトリックス)代表取締役社長に就任した大古俊輔氏は、企業内からモバイルまでどこにいても情報にアクセス可能な環境を構築する「アクセスインフラ市場」の拡大を中心に、前年比20%増の売上を目指す方針を1月26日に行われた記者説明会で示した。

 シトリックスが事業の核とする「MetaFrame」は、アプリケーションやデータをクライアントPCに置かずサーバーで管理する「サーバーベースコンピューティング」をWindows上で可能とし、管理コストの削減や通信帯域の節約のほか、情報漏えい対策にもつながるソリューションとして展開している。特に2004年は個人情報保護法やe文書法施行をターゲットとしたセキュリティ面を強調することで、これらへの意識が高い官公庁や、過去に情報漏えい事件を起こしてしまった企業などを中心に導入が進んだ。

 しかし大古氏は「大きく伸びたが、市場機会はまだまだある」と気を引き締める。MetaFrameは情報漏えい対策にとどまらず、「情報アクセス全体をターゲットにできる」(大古氏)との考えがあるからだ。アクセスインフラの総合ソリューション構築に向け、米Citrixは2004年にWebベースのアクセスサービスベンダー米Expertcityや、アクセスゲートウェイベンダー米Net6を買収し、国内でも「MetaFrame Access Suite」としてアクセスインフラを支える4製品を投入した。「アクセスインフラ市場はIT支出全体を大きく上回る12%の伸びが見込まれている、非常にいい市場」と大古氏は期待を示す。

 大古氏は現状の課題として「MetaFrameの導入企業が多い割に利用者数が少ない」ことを挙げ、今年はパートナーとのアライアンスなどによりエンタープライズ市場基盤の拡大し、企業インフラとしての利用を広める戦略を示した。これに向け2004年より開始したコンサルティングサービスの強化や、料金体系にサブスクリプションモデルの導入などの施策打ち出す。また、SMB市場においても「受け入れが進んでいる」(大古氏)ことから、積極的な展開を図る方針だ。


「サーバーベースコンピューティングと従来のPCは共存する」

 個人情報保護法施行や情報漏えいへの危機感から、MetaFrameのようにデータをクライアントPCに置かないコンピューティングモデルが、サーバーベースコンピューティングや「シンクライアント」として、活況を呈してきている。日立は1月にHDD非搭載のモバイル端末の社内導入を発表したほか、日本HPはブレードサーバーをサーバー事業の軸とし、CPUやメモリ、HDDなどPCの構成部品をブレードに搭載する「ブレードPC」を今年前半にも販売開始する予定だ。

 また、業務アプリケーションをWebアプリケーション化したり、これの使い勝手を向上させた「リッチクライアント」の利用も広まっている。

 同社でも、今年はこのようなモデルの導入が増えていくと予想している。しかし大古氏は「現行ユーザーがクライアントPC上で動作するアプリケーションを手放すとも思えない。Webアプリケーションも含め、今後これらは共存していくだろう」と語る。さらに「MetaFrameはアプリケーションがどこで動作する場合でも同じ使い勝手で利用できることが特徴。Webアプリケーションを利用する場合でもメンテナンスが必要なWebブラウザが必要となるのだから、(管理効率を上げるうえでも)十分意味がある」とアピールした。



URL
  シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
  http://www.citrix.co.jp/

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( 朝夷 剛士 )
2005/01/26 19:24

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