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パソナテック加藤氏「ITSSはエンジニアのスキルをあらわす共通言語」

~Developers Summit 2005講演

 2005年2月3・4日に開催されている「Developers Summit 2005」において3日、「ITSS時代のプロジェクト人材戦略~キャリアのオープンプラットフォーム化が始まる~」と題し、株式会社パソナテック HR担当取締役の加藤直樹氏による講演が行われた。

 ITSS(ITスキルスタンダード)とは、経済産業省が制定しているITスキルの標準指標である。ITSSでは11職種に38の専門分野を規定、各専門分野に対して7段階のレベルが制定されている。IT分野における総合人材サービスを展開するパソナテックでは、多くの企業からエンジニアの派遣を求められる。つまり、開発プロジェクトにどのような人材を何人投入する必要があるかを明確にする必要がある。


株式会社パソナテック HR担当取締役 加藤直樹氏
 加藤氏は、「課長」や「部長」といった企業のラインマネジメントと、「プログラマー」、「システムエンジニア」、「プロジェクトマネージャー」といったエンジニアのキャリアパスは必ずしも一致するものではないと語る。さらに、エンジニアのスキルを示す指標もあいまいで、たとえば「Javaができる人」といった場合、その熟練度には大きな差異があると指摘する。プロジェクトチームを構成するエンジニア個々のスキルが明確化されていなければ、的確に役割を分担することができず、結果としてプロジェクトの失敗につながりかねない。プロジェクトで要求されるスキルと、プロジェクトに投入されるエンジニアのスキルとのギャップを解消する方法として、パソナテックをはじめとする多くの企業では、ITSSベースのスキル評価指標の利用を提案している。

 パソナテックでは、必要とされるエンジニアのスキルを正確に把握するために、ITSSをベースに独自のITスキル指標「PTSS(PASONATECH Skills Standard)」を展開し、情報を公開している。このように企業においてITSSを利用するには、「既存の評価基準とのひもづけ」、「ITSSへの実際の人材のマッピング」、「プロジェクトに関わるすべての人材への適用」が必要になる。つまり企業がITSSをベースとした独自のスキル評価基準を設定し、その情報を公開することで社内外(ビジネスパートナー)でのコミュニケーション手段とするのである。

 個人のスキル特定というと「査定」などと結びついて、エンジニア個人からはマイナスにこと考えられがちである。しかしエンジニア自身がスキルを明確化するで、より正当な評価を受けられるようになるというメリットもある。さらに加藤氏は、今後多くの企業が人材育成や発注にITSSをベースとした指標を利用することになると語り、ITSSが共通言語となって、社内外のコミュニケーションを円滑化するために活用されることになるとした。



URL
  Developers Summit 2005
  http://www.seshop.com/event/dev/
  株式会社パソナテック
  http://www.pasonatech.co.jp/
  情報処理推進機構 ITスキル標準センター
  http://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/


( 北原 静香 )
2005/02/04 18:45

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