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「液晶・プラズマを手放し、LSIに集中」富士通が会見


取締役専務 経営執行役専務 電子デバイスビジネスグループ長 小野敏彦氏
 富士通株式会社は2月8日、PDP(プラズマディスプレイパネル)やLCD(液晶ディスプレイ・デバイス)など、相次いで事業の売却を発表した電子デバイス事業に関しての会見を開き、同社が進める事業構造改革の方針を説明した。

 富士通は、2月2日に富士通日立プラズマディスプレイ株式会社(FHP)の経営権を日立に譲渡すると発表した。また、2月7日には液晶デバイス事業をシャープに譲渡、さらに同日、液晶ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ製造装置事業をアルバックに譲渡すると発表した。

 一連の事業再編策について、富士通取締役専務 経営執行役専務 電子デバイスビジネスグループ長の小野敏彦氏は「(電子デバイス事業の)全リソースをLSI(半導体)事業へ集中するため」と説明した。従来同社のデバイス事業は、PDPやLCDのほかに、LSIや電子デバイスなど多岐にわたる展開を続けていたが、2002年にその多くで赤字を計上し、事業構造改革に着手した。「電子デバイス事業は、構成する各事業ごとに年間1000億円クラスの開発・設備投資が必要。当社の身の丈を超えていた」(小野氏)ことから、LSIへリソース集中を進めてきたという。

 さらに2004年5月ごろからPDP、LCDなどフラットパネルディスプレイの価格が急速に下落、同事業はこの影響を直に受け「どしゃぶり状態」(小野氏)の営業赤字に陥った。価格の下落に対応するには、製造から販売までの垂直統合によるコストの削減が求められるが、他社への供給のみで自社製品を持たない同社は、「(価格は)今後も簡単には下げ止まらない」(小野氏)との判断から、早期の事業売却に踏み切ったとのこと。

 同社は今後、“画像処理”と“LowPower”をキーワードとする技術的優位性を背景としたLSIロジック事業へのリソース集中を図るとともに、さらなる事業構造の効率化・コスト削減を進める方針だ。小野氏は「2005年は2004年度並の厳しい状況が続くが、2006年以降に好転できると確信している」と強調した。


ここ3年の同社電子デバイス事業のビジネス状況 2004年度第3四半期 電子デバイス事業決算状況 事業構造改革の方向性


URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  プレスリリース(2月2日PDP事業の譲渡について)
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2005/02/2.html
  プレスリリース(2月7日液晶デバイス事業の譲渡について)
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2005/02/7-1.html
  プレスリリース(2月7日 フラットパネルディスプレイ製造装置事業等の譲渡について)
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2005/02/7-2.html

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( 朝夷 剛士 )
2005/02/08 17:26

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