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日本IBM、SOAは次代におけるビジネス最適化の切り札

~IBMが考えるSOA実践セミナー

 2月10日、都内において開催された「IBMが考えるSOA実践セミナー」では、SOA(サービス指向アーキテクチャ)とBPM(ビジネスプロセスマネジメント)によるビジネスインテグレーションをテーマに、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)がSOAをどのように捉えて実践していくのかが解説され、その際に必要となるIBMのソリューションもあわせて紹介された。

 昨今の変化の激しい市場に対応するには、ビジネスの側にも柔軟な対応が求められる。もちろんビジネスを支えるITも同様に、変化に柔軟に対応しなければならない。しかし、ITの変化(変更)には、投資が必要となる。多くの企業では、景気全体の悪化や競争の激化など、厳しいコスト削減要求にさらされており、ITに対してもROIを強く意識するようになっている。

 この解として最近注目を浴びているのが、企業の業務形態を再利用できるコンポーネントである「サービス」として分割し、これを組み合わせてシステムを構築していくSOAの考え方だ。SOA自身はその名前が示す通り「アーキテクチャ」でしかないが、業務を明確化してサービスとして分割し、組み立て可能なコンポーネントとして扱うことで、常に変化するビジネスに柔軟に対応可能になる。コンポーネントの結合(疎結合)には、Webサービスが利用される。また、レガシーシステムなども含む既存のアプリケーションを再利用するために、Webサービスから利用可能とするラッピング技術も多くのベンダーから提唱されている。


BPMを構築するEclipseベースの各種モデリングツールとSOA基盤「WAS」

 SOAの実現には、ビジネスプロセスの明確化と的確なマネジメントが必須となる。このビジネスプロセスの構築に利用されるのがBPMとなる。IBMが考えるBPMのコンセプトは、「分析」「設計」「実行」「モニタリング」「改善・再構築」というマネジメントサイクルをビジネスプロセスに適応し、継続的なプロセスの改善を遂行しようというものである。こうすることで、常に変化するビジネス上の要件を企業のビジネスプロセスに反映し、さらに最適化した形でITにマッピングすることが可能になる。つまり、BPMによってサービスを組み合わせたプロセスフローが構築され、これらにサービスを実装するためのITアーキテクチャとしてがSOAが位置づけられていることになる。

 IBMが提供する「WebSphere Application Server(WAS)」は、SOAを実現するソリューション群れの基盤であり、アプリケーション間を流れるビジネストランザクションのための接続インフラとなるESB(エンタープライズサービスバス)なども提供する。

 SOAアプリケーションの開発をサポートするIBMのソリューションには、ビジネスプロセスモデリングツール「WebSphere Business Integration Modeler」、アプリケーションモデリングツール「Rational XDE」、アプリケーション開発ツール「WebSphere Studio Application Developer Integration Edition」があり、これらのツールはEclipseベースとなっている。


WebSphere XDとTivoliを連携した仮想リソースの自律的運用管理

 IBMではアプリケーションの開発だけではなく、システムの運用管理にも力を注いでおり、SOAとともに投資コストの最適化を実現するアプリケーションの仮想化を推奨している。

 通常、ITリソースへの投資を最小限にとどめるには、キャパシティプランニングが重要となる。しかし、Webアプリケーションはユーザー数が流動的で、ピークトランザクションを想定することが難しい。そこでIBMでは、システムリソース全体を仮想化して、さらに運用も統合していく方法を提唱している。

 これまでWebサイトといえば、それぞれ独立したハードウェアで提供されてきた。しかしこの仮想化技術を使えば、複数のハードウェアで仮想化されたリソースプール上に複数のサイトを構築し、それぞれのWebアプリケーションに最適化されたリソースを動的に割り当て可能になる。この仮想化を実現するのが「WebSphere Extended Deployment(XD)」となる。

 一方でシステムの運用管理といえば、IBMにはTivoliブランドがある。Tivoliには数多くのソリューションがあり、システムの運用管理を自動化し、自律的(オートノミック)に問題への対処を行う運用が可能になる。このTivoliの「Tivoli Intelligent Orchestrator」とWebSphere XDとを組み合わせることで、さらに柔軟なシステムリソースの管理運用を実現することも可能になるという。

 このように多くのソリューションにより、IBMではSOAの実現をサポートし、企業のIT投資を最適化を提案し続けている。2004年にはWASのメジャーバージョンアップがあったが、2005年にはアプリケーション開発ツールもRationalブランドへと移行する。他にもEclipseをベースとして、アプリケーションのパフォーマンスデータを収集して運用・解析を行う「WebSphere Business Integration Monitor」もリリースされる予定だ。そのランタイムとしては「WebSphere Business Integration Server Foundation」がすでに提供されている。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  IBMが考えるSOA実践セミナー
  http://www-6.ibm.com/jp/software/websphere/events/20050210.html


( 北原 静香 )
2005/02/14 19:31

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