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米EMCニックCTO、「ITリソース管理の早期標準化を」


米EMC 上席副社長兼CTO ジェフリー M.ニック氏
 米EMCの上席副社長兼CTOのジェフリー M.ニック氏は、ITリソースの管理において、標準化団体などが策定する、ベンダー間を超える一貫したポリシーを定めることで、複雑性を解消するべきとする考えを、2月14日に開かれたプレス向け説明会で示した。

 ニック氏は、2004年9月にEMCに入社するまで米IBMに在籍し、技術職の最高位となる“IBMフェロー”を勤めた人物。EMCでは、プラットフォーム、ソフトウェア、サービスの各技術部門を統率し、技術的な戦略のほか、業界標準化に対する活動にもかかわっているという。

 そんなニック氏は、現在のIT管理について、個々のベンダーが独自の見方や技術によって取り組んでいるため、通常は複数ベンダーのリソースを保有するユーザーサイドから見ると管理の複雑性が増大していると指摘する。

 最近ではサーバーやストレージ、ネットワークなど物理的なITリソースを仮想化し、グリッドやユーティリティコンピューティング、ILMといった管理手法につなげるベンダーが多く、実用化に向けた展開が始まっている。ニック氏は、これら次世代のITリソース管理を、複数ベンダーの製品をかかえるユーザーが実現するには「ハードウェアやアプリケーションなどの相関関係を理解して一定のポリシーを定め、一貫したメタデータのモデリングが必要となる」と述べた。

 異なるベンダーのコンポーネントを連携する技術としては、Webサービスがあり、利用が広がっている。しかしニック氏は「XMLは人間の言葉でいうアルファベットを定義したものであり、リソースやアプリケーション管理という側面から見れば、まだ未熟である」とした。


仮想化されたリソースとビジネスとの間にあるリソース管理 一貫したメタデータのモデリングにより実現する「メタストラクチャ」

 ニック氏は、こうしたモデリングの標準化に向けて、ストレージアーキテクチャの技術研究や標準化の推進などを行う業界団体「SNIA(Storage Networking Industry Association)」や、エンタープライズレベルのマルチベンダーシステムの管理に向けた業界団体「DMTF(Desktop Management Task Force)」、さらにIBMが進めるグリッドの標準化団体「The Global Grid Forum」や、XML関連の標準化団体「OASIS」など、各種標準化団体に積極的にかかわっていく意向を示した。

 EMCとしては、こうした標準化への技術に精通したニック氏を迎えることなどで、標準技術への関与を深め、かつてのストレージハードウェア専業ベンダーのイメージを、さらに払しょくしようとしている。



URL
  EMCジャパン株式会社
  http://www.emc2.co.jp/


( 朝夷 剛士 )
2005/02/14 19:07

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