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日立ソフトとクラステクノロジー、製造業向け生産管理パッケージで提携


 日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社(以下、日立ソフト)は2月16日、製造業向けの生産管理パッケージ「ECObjects」を手がけている株式会社クラステクノロジーとの提携を発表した。日立ソフトではオプションとなる原価管理パッケージ「ECObjects/CostACC(仮称)」を開発する。


日立ソフト 産業システム事業部 第1産業システム本部 部長 福山修一氏

クラステクノロジー 代表取締役 四倉幹夫氏
 ECObjects/CostACCの発売は5月からで、クラステクノロジーが販売を行い、日立ソフトではSI、カスタマイズを手がける。日立ソフト 産業システム事業部 第1産業システム本部 部長 福山修一氏は「日本の製造業は好調。IT投資の伸びも期待でき、今後3年で3000億円の新規市場が生まれるだろう」と述べており、両社では、売上高300億円以上となる中堅企業や、大手企業の拠点向けに販売を行いたい考え。2007年までに日立ソフトでは製造業向けの生産管理ソリューション全体で60億円、クラステクノロジーではECObjectsのパッケージ売上全体で30億円の売上を見込んでいる。

 日立ソフトでは、従来からゼロスクラッチによる製造業向けシステム開発を手がけてきたが「期間、コストを要するため、市場のニーズに応えられていない危機感があった」と今回の提携の経緯を語っている。

 ECObjectsは、自動車、電機、工作機械、半導体、また最近では食品などを対象にし、受注から試作、購買、生産、物流といった各フェーズの情報を統合データベースを各部門で共有することで全体最適化を実現できるパッケージ。Javaをベースとしており、オブジェクト指向のクラスライブラリをソフトウェアコンポーネントとして利用するため、ニーズに応じた短期間での導入が可能だ。

 日立ソフトが現在開発を進めているCostACCは、在庫データを時間軸で管理する生産管理システムと連動し「例えば、原材料が10日後に納入され、20日後に出荷予定の製品見積もりをその場で出せる」(福山氏)といったリアルタイム原価や、未来原価計算の機能を備えている点が特徴だ。クラステクノロジー代表取締役の四倉幹夫氏は、「現在は欧米のパッケージが広く使われているが、既存の製品では出荷後の製品の原価しか計算できない。いわば“死んだ子の年を数える”ようなものだ」とし、月初と月末の差異を原価としている従来のパッケージにおける、受注時の目標原価にあわせた原価の予測やコントロールができない問題を解消できるとした。なお価格については、「平均的には、4~500人の中堅規模で2億円程度を想定している」とのこと。

 今後は2006年3月までに、物流までを含めた生産国別のコストを比較できる多国籍原価機能、製品シリーズ全体で、年度をまたがった利益を算出できる多年度原価計算機能、またPLM/PDMといった設計支援システムと連動し、製造の研究開発投資までを含むプロジェクト全体の収支計算を行える過去遡及原価といった機能拡充を行っていく。

 また四倉氏は「今回の提携は単なる代理店契約ではなく、ECObjectsを日の丸ブランドとして立ち上げる第一歩」と語っており、日立ソフトの持つ製造業へのSI、アプリケーション開発と、クラスライブラリーのパッケージ開発ノウハウをもとに、リアルタイム生産をはじめとした先進的な国内製造業のノウハウも吸い上げ、国内製造業のニーズを反映した“純国産”パッケージとしての展開を図っていくという。


生産管理から物流までを統合データベースで一元管理する「ECObjects」 CostACCのリアルタイム原価機能


URL
  日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社
  http://www.hitachi-sk.co.jp/
  株式会社クラステクノロジー
  http://www.class.co.jp/
  ニュースリリース(日立ソフト)
  http://www.hitachi-sk.co.jp/News/News301.html
  ニュースリリース(クラステクノロジー)
  http://www.class.co.jp/release/20050216.html


( 岩崎 宰守 )
2005/02/16 16:02

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