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個人情報保護法に対応済みの企業はわずか34%-アビームコンサルティング調査


 「1月の時点で個人情報保護法への対応が済んでいる企業は34%」。アビームコンサルティング株式会社が実施したアンケート調査の結果から、3分の2の企業が対応できていないという現状が浮き彫りになった。調査は、個人情報保護法により個人情報取扱事業者となる企業を対象に、2005年1月11日から1月31日にかけて行われた。サンプル企業数は121社。

 個人情報保護に関する基本方針として、1)社内規程の策定、2)組織での責任体制、3)従業員教育、の3点が重要項目としてあげられているが、今回の調査でこれらすべてに対応している企業は34%にとどまり、6割以上の企業の対応はいまだ不十分であることがわかった。

 項目別にみると、社内規程の策定が終了している企業が48%、策定中の企業が38%、策定していない企業が13%という結果になっている。組織での責任体制については、担当役員を任命している企業が37%、既存部署に追加するという企業が34%、体制を検討中の企業が32%となっている。従業員教育については、42%の企業が実施済み、49%の企業は今後実施と回答している。

 また、漏えい経験のある企業とない企業を比較すると、漏えい経験のある企業は、キャビネ施錠(漏えい経験のある企業が100%、ない企業が93%)やペーパーレス化(漏えい経験のある企業が62%、ない企業が14%)、印刷制限(漏えい経験のある企業が46%、ない企業が21%)など物理的な対策に特に注力しているという結果となった。

 アンケートに回答した多くの企業が、時間と直接経費を個人情報保護法への対応推進の最大の課題としてあげている。組織・規程作成、現状把握、社員教育においては約60%から75%の企業が時間不足を、また、IT対応、物理的対応、チェック機能の分野で約70%から85%の企業が直接経費を最大の課題としている。そのほか、危機管理、委託先管理、組織/規程作成の分野について、約50%から70%の企業がノウハウ不足を阻害要因に挙げている。

 業種別の対応状況では、情報サービス業がもっとも対策が進んでおり、外部委託先に対する管理やチェック機能、社員教育に関して他の業種と比べて力を入れているという結果がでている。反対に、対策が遅れているのは、不動産業や小売業で、特に社員教育の面で遅れが顕著となっている。

 今回の調査を担当したアビームリサーチのシニアマネージャー 石神芳文氏は、「組織の設置/規程の作成/社員への教育を実施している企業が約3割というのは、予想以上に低い数字であり、保護法の他の項目への対策も勘案すると、企業の保護法対策進ちょく度は極めて遅れているとみられる。多くの企業にとって業務推進のためには個人情報は必要不可欠であり、その取り扱いを適切に行うことは、法の施行に関わらず事業者の義務。企業規模にかかわらず、保護法ならびに各省庁のガイドラインを参照し、業務内容に即した対策を講じる必要がある」と、コメントしている。



URL
  アビームコンサルティング株式会社
  http://www.abeam.com/jp/
  プレスリリース(PDF)
  http://www.abeam.com/jp/archives/press_release/20050223_research.pdf


( 福浦 一広 )
2005/02/23 17:48

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