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マイクロソフト、「電子自治体でのオープンシステム活用」をアピール


執行役 公共インダストリー統括本部長、大井川和彦氏
 マイクロソフト株式会社は2月24日、プレス向けのセミナーを開催し、同社の電子政府・電子自治体に対する取り組みを、執行役 公共インダストリー統括本部長、大井川和彦氏が説明した。

 大井川氏はまず、自治体における稼働サーバー中74%をWindowsが占めるという、新電子自治体共同研究会の調査を示した。この事実から、一般企業同様、自治体においてもマイクロソフトの影響が非常に大きいことを踏まえ、電子政府・自治体でも「責任ある立場と考えている」と、大井川氏は述べた。

 また、国際競争力の低下、中央・地方で合計800兆円を超える債務の問題、少子高齢化に伴う労働力の低下などに触れ、「効率よく、付加価値の高い電子政府が求められている。無批判な投資は許されない状況」と、現在の日本の状況を評し、「行政サービスの改善と向上、高い生産性の確保と効率化、コストの削減が電子政府・自治体には求められている」と説明する。

 しかし現状では、利活用が十分でないことをはじめ、行政のパフォーマンスが向上したかどうかを正しく評価するスキームが不足していたり、投資対効果をあまり考えていなかったりするなど、いくつもの問題が存在したままだという。

 こうした状況から大井川氏は、重点課題として「調達の硬直化」「行政側のITリテラシー」「セキュリティ」の3つを挙げ、これらの解決に特に努力していくとする。まず、調達の硬直化に関しては、レガシーマイグレーションが進まないため、保守費用に少ない予算のうちのかなりの部分を取られてしまい、新規投資の費用に回らないという点などを問題視。商用パッケージソフトを活用したコスト削減、サービス指向アーキテクチャ導入、オープンスタンダードへの対応などを提案して、1つのベンダに縛られるベンダロックオンを回避した、より開かれた調達が実現するようにしたいとしている。

 実際にマイクロソフトでは、この分野の新しい試みとして、鳴門市の「次世代型自治体標準業務アプリケーション検討プロジェクト」にコンサルタント的な立場で加わっている。このプロジェクトは、カスタマイズを極力避けて、パッケージを有効に活用しようと試みるもので、大井川氏は「各自治体の業務には共通する部分もあるのに、いちいちカスタマイズしているのは無駄だ」と述べ、業務を検討した上で、ほかの市町村への応用も考えたいと語っていた。


 2つ目のITリテラシーの問題に関しては、調達の硬直化とも絡むが、「調達側にRFP(提案依頼書)を書くノウハウがないため、ベンダに丸投げしてしまい、結果として高いコストがかかってしまっている点」(大井川氏)を指摘。オープンシステムならではのRFPを作るための研修をやっていきたいとしたほか、官庁からマイクロソフトに入社して、作業効率の違いに驚いたという自身の経験から「ツールとしてのITの使いこなし方が弱く、効率化できる部分はたくさんある」として、一般職員の業務における生産性向上も支援していく姿勢を示した。

 一方セキュリティ面では、「ソフトウェア企業として、責任を持った対応をする」(大井川氏)ことを表明。今後もセキュリティ関連の投資を続けていくとともに、内閣官房をはじめ関係機関との協力体制の構築、教育・啓発活動の継続的な実施などによって、「安全な情報基盤を整備したい」と大井川氏は述べた。

 なおマイクロソフトでは、Government Security Programという政府向けセキュリティプログラムを実施しており、ソースコードや技術情報の提供を、現在40カ国・団体と行っているという。日本はまだ加入していないが、内閣官房などと前向きに協議しているとのことだ。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/


( 石井 一志 )
2005/02/24 19:17

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