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ニイウス、IBM製スパコン「Blue Gene/L」を用いたサービス事業へ参入


Blue Gene/L
 ニイウス株式会社は2月25日、米IBMのスーパーコンピュータ「Blue Gene/L」などによるグリッドを利用した金融・医療機関向けのサービスを、早ければ7月にも開始する予定であることを明らかにした。またそれに先駆け、同コンピュータの販売も行う。

 スーパーコンピュータは、もともとベクトル型プロセッサを搭載したベクトル型からスタートしているが、ここ最近ではコストパフォーマンスに優れるスカラ型スーパーコンピュータが主流となっている。スカラ型とは、サーバー/ワークステーション向けの一般的なプロセッサを利用するスーパーコンピュータで、近年、プロセッサ性能の大幅な向上、並列処理技術の進歩などによって、ベクトル型に近い、もしくはそれを超える性能のスカラ型製品が登場してきたわけだ。

 Blue Gene/Lもこのスカラ型の1つで、OSにはLinuxを利用する。2004年には米ローレンス・リバモア国立研究所に納入されたものが70T(テラ)FLOPSの演算性能を記録。スーパーコンピュータの演算性能を競う「TOP500」において、それまでトップだったNECのベクトル型「地球シミュレータ」を抜き、1位に躍り出た。

 Blue Gene/Lを細かく見ると、2つのプロセッサを搭載する1チップを最小構成とし、そのチップを2つ搭載する「Compute Card」、同カードを16枚装着した「Node Card」、Node Cardを32単位収納したラック(キャビネット)、という単位に分割できる。1ラックあたりでは1024チップ(2048プロセッサ)を搭載する計算で、記録を打ち立てた米ローレンスリバーモア研究所のBlue Gene/Lは、16ラックを接続して上記の性能を実現しているという。


Blue Gene/Lのハードウェア構成 ニイウスがBlue Gene/Lを設置している、グリッド/オートノミック・コンピューティングセンター。サーバーラックが立ち並ぶ Blue Gene/Lの外観

代表取締役会長兼社長、末貞郁夫氏
 ニイウスでは、こうした性能を持つBlue Gene/Lの米国域外出荷第1号機を、同社の検証施設「グリッド/オートノミック・コンピューティングセンター」内に設置。他社に先駆けて商用目的の検証用に利用している。同社では今後、「スカラ型では、ふつうのアプリケーションをそのまま高速計算に利用できる」(代表取締役会長兼社長、末貞郁夫氏)ことから、金融・医療関係を中心に、スーパーコンピュータの高い性能を活用したサービスを提供し、収益を確保したい意向を持っている。

 なお、実際にサービス提供を開始するのは、沖縄の名護に開設予定のデータセンターが営業を開始してからになる。現在同社では、東京と浦添(沖縄県)に拠点を設けているが、名護と札幌(予定)を加えた4カ所で、Blue Gene/Lをはじめとした各種機器によるグリッドネットワークを構築し、コンピューティングリソースを引き出せるようにする。顧客へはインターネットなどのネットワークを経由してサービスを提供する構想という。



URL
  ニイウス株式会社
  http://www.niws.co.jp/


( 石井 一志 )
2005/02/25 17:56

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