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Oracle 10g WorldでさりげなくアピールされたEdyとおサイフケータイ

Oracle 10g World講演

入場前にEdyで事前登録情報と照合する
 2月24、25日に都内で開催されたOracle 10g Worldでは、電子マネーサービス「Edy」や、NTTドコモ株式会社の「おサイフケータイ」を会場内入館証として利用する来場者管理システムを、日本オラクル株式会社と新日鉄ソリューションズ株式会社が構築し、運用されていた。

 このシステムは、単に来場者数のカウントや情報管理だけでなく、催事中に行われた講演における事前登録者の優先入場などにも活用されていた。

 開催前にWeb上で聴講の事前登録する際に、Edyやおサイフケータイも合わせて登録しておくと、これらが入館証として利用できるようになっている。持ってない人も受付で事前登録情報と結びついたEdyを入館証として受け取ることができる。各講演会場の前には読み取り機が設置されており、Edyやおサイフケータイをかざすと瞬時に事前登録者情報と照合され、スムーズに入場できる仕組みだ。システムは「Oracle Database 10g」や「Oracle Application Server 10g」を基盤とする、日本オラクル株式会社・新日鉄ソリューションズが共同開発した「Oracle On Demand@NSSOL」の仕組みが活用されている。


「ただ便利なだけでなく、お得なことがなければ使われない」

多種多様なEdy

NTTドコモ プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部 アライアンス推進担当部長 平野敦士氏(左)と、ビットワレット 代表取締役社長 川合成幸氏(右)
 Edyがサービスを本格開始したのは2001年11月。以来、現在まで累計で740万枚が発行され、月間利用件数は540万件、電子決済ができる加盟店数は今春までに2万店に達する見込みだ。発行形態も多様で、今回のような入館証のほか、店舗や交通機関などの会員証、金融機関のキャッシュカードやクレジットカード、社員証や学生証にも採用が進んでいる。

 そして2004年7月には、Edyが採用する非接触ICカード技術「FeliCa」を搭載したおサイフケータイがNTTドコモから登場した。2005年1月までに約210万台を出荷しており、「来年度末までに1000万台」(NTTドコモ プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部 アライアンス推進担当部長 平野敦士氏)の出荷を予定している。また、今年中にはauやボーダフォンからも対応端末の発売が予定されている。

 Edyの運営会社であるビットワレット代表取締役社長の川合成幸氏は、こうした流れから「ようやく普及の兆しがでてきた」と話す。電子マネーサービスは、これまで国外でいくつもの試みがあったものの、そのほとんどは普及に至っておらず、軌道に乗りつつあるEdyに注目が集まっているという。

 Edyの利用が広まりつつあるのは、カードの発行枚数や加盟店数の増加もあるが、事業者と消費者の双方にとってメリットを享受できるサイクルができつつあることが大きな要因だと川合氏は指摘する。事業者側はEdyのシステムを利用することで、消費者の購買パターンを分析できるほか、従来よりローコストでサービスを提供することができ、消費者の囲い込みにつなげることが可能。Edy対応の会員カードを140万枚発行したという全日空では、Edyで買い物するとマイルをためることができたり、マイルをEdyの電子マネーと交換することができるサービスを展開している。

 川合氏は「ただ便利なだけでなく、消費者にとって得なことがなければ使われない」と強調する。面白い例としては給与から一定金額を天引きし、電子マネーに入金するサービスが好評だという。「昼食代を家計から引き出さずに捻出(ねんしゅつ)できることが受けたらしい」(川合氏)。

 NTTドコモでは、おサイフケータイの利用推進に向け、事業者に対し電子決済システムの導入推進を行っている。レンタルビデオ店舗を展開するゲオに対しては、全国600店舗へのリーダ/ライタの設置や、ソフトウェア開発など全システムの構築費用を負担した。決済でEdyが利用されるとロイヤリティがNTTドコモに支払われるビジネスモデルとなっている。また、「実際に利用することで、セキュリティなどへの不安が減り、便利さを実感してもらうことができる」(平野氏)。


FeliCa普及に向けたドコモの展開 iモードFeliCa利用前と利用後の印象の変化

 Oracle 10g Worldでの採用も、Oracle 10gとともにEdyやおサイフケータイの可能性をユーザーに示す活用事例なっている。また、単に利便性を高めるだけでなく、自前のEdyやおサイフケータイで登録したユーザーに対し電子マネーをプレゼントするなど、利用を促す仕組みも忘れていない。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  新日鉄ソリューションズ株式会社
  http://www.ns-sol.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1308
  NTTドコモ株式会社
  http://www.nttdocomo.co.jp/
  ビットワレット株式会社
  http://www.edy.jp/
  関連記事:ドコモの“おサイフケータイ”がいよいよ登場(ケータイWatch)
  http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/19315.html

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( 朝夷 剛士 )
2005/02/25 19:13

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