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先端技術と製品・サービスの総合力で回復を図る富士通


富士通株式会社 取締役専務 伊東千秋氏
 富士通株式会社取締役専務の伊東千秋氏は3月3日、製品開発・製造・サービスをワンストップで提供できる強みと、パートナーとの提携関係を生かし、プロダクト事業において2001年から続く赤字から、2004年には黒字転換を見込み、2007年には営業利益率5%を目指す考えを、ネットワーク事業に関する記者会見で示した。

 この中で伊東氏は、企業の競争力を高める上でITインフラの強化と信頼性向上が必須となる一方で、TCO削減に向けたIP電話の導入などによりシステムの複雑化が進む現在、「IPとITのコンバージェンス(統合)に精通した戦略パートナーが求められている」とした。

 従来、ITは情報システム部、電話は総務部というように担当部門が分かれていたが、IP電話が導入されると、IT部門はそれまで扱った経験のない電話インフラも管理しなければならなくなる。さらに段階的な移行を踏む場合、複雑性が増し、自社内でのネットワーク設計や構築、運用が困難となるといわれている。

 これに対し富士通では、IP-PBXやルーター・スイッチ、サーバーなどのプロダクトと、ネットワークインフラの提供やネットワーク設計・構築・運用・保守などを行うネットワークサービスを提供する、「IP/IT・業務に精通し、ワンストップオファリングできる」(伊東氏)部隊を600人体制で新設し、他社との差別化を図る。

 こうした中で、2004年12月に発表したシスコシステムズ株式会社との提携など、「一流ベンダーとのアライアンス」(伊東氏)を生かし、開発コストを抑え、収益率の改善を図る方針だ。


プロダクト事業の業績推移
 同社のプロダクト事業は、国内の通信プロダクト事業や、北米の光システム事業における需要の大幅な落ち込みにより、2001年に営業利益率が12%もの赤字に転落後、2年間低迷が続いていたが、事業の大幅なリストラ効果や、堅調が続くモバイルシステムなどにより、2004年度は2%の黒字転換を見込んでいる。

 ネットワーク事業に絞ってみると、IPシステムとモバイルシステムが合計で2050億円、光・アクセスなど伝送システムが1900億円。国内と海外では、だいたい2:1の割合となっている。しかし、北米光システムの復調や、欧州におけるブロードバンド化の進展、さらに欧州や中国における3G携帯電話の拡大などの見通しから、2007年における売り上げ目標である4600億円のうち、海外が占める割合が増える可能性も示唆した。

 国内においては、NTTがインフラの光化・IP化に向け6年間に5兆円の投資を予定していることを受け、うち3兆円がプロダクトに対する投資と見込み「30%を狙う」(経営執行役 中村隆氏)考えを示した。

 伊東氏は「我々は先端技術によって他社の先を行かねばやっていけない会社。コモディティ化した製品を大量に売るのは、まったく向いていない」と述べ、プロダクト開発における先端技術へのこだわりを維持し、高品質・高信頼性の維持と、生産における効率化を進める方針を示した。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/

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( 朝夷 剛士 )
2005/03/03 18:49

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