レイヤ2/3およびレイヤ4-7ソリューションの老舗、米Foundry Networks,Inc.(以下、Foundry)は、それら2分野のシェアで業界No.1の座をこの数年間堅持し続けているという。また同社では10Gigabit Ethernet(以下、10GbE)のソリューションに強い自信を持っており、先日も新製品を市場に投入したばかりだ。今回は、来日した同社のCEO、ボビー・ジョンソン氏に、同社が前述2分野のソリューション、特に10GbEの分野で強さをみせるバックグラウンドについて、近況とともに聞いた。
■ レイヤ3スイッチで4年連続1位、レイヤ4-7分野とあわせて不動のポジションへ
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米Foundry NetworksのCEO、ボビー・ジョンソン氏
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─Foundryの売り上げは2004年も好調だったようですね。
ジョンソン氏
2004年の売り上げはワールドワイドで4億1000万ドルと、史上最高の売り上げを達成しました。これで6年連続黒字です。顧客数も、ワールドワイドでISPをはじめメトロサービスプロバイダ、大学、政府・官公庁、ファイナンシャルサービス、製造業ほか7500社以上にのぼっています。
─ここ1年間では、どのような製品が売り上げに貢献しましたか。
ジョンソン氏
主なものでは、たとえば2004年春に投入したFES X(FastIron Edge Switch X)シリーズのレイヤ2/3スイッチがあります。10/100/1000BASEポートを24基搭載したモデルと48基搭載したモデルがあり、10GbEを最大2ポートまで追加拡張可能です。これはエンタープライズやサービスプロバイダに向いた製品で、かなり成長しています。
加えて、IPv4/6両対応で世界でも最高速のIPv6ルータ、NetIron 40Gが好調です。これは、NetWorld+Interop Tokyo 2004ではIPv6ルーティングデモを行い、Best of Show Awardを受賞しました。それから10GbEに関しては、スタッカブルのEdgeIron 24GS/48GS、同8x10Gも投入しました。これら目玉製品は、エンタープライズやサービスプロバイダ、メトロサービスプロバイダなどに向けて、かなり導入が進んでいます。
─そうしたレイヤ2/3製品関連以外に、レイヤ4-7Webスイッチにも自信をお持ちですよね。
ジョンソン氏
2004年夏にServerIron GT Eアプリケーションスイッチを投入しました。これもNetWorld+Interop Tokyo 2004でBest of Show Awardを受賞しています。またSSLアクセラレーション機能を統合したゲートウェイスイッチ、ServerIron GTシリーズも2004年春に投入しました。これは、レイヤ4-7スイッチングとSSLアクセラレーションを統合させたもので、SSL処理をサーバーからオフロード可能なほか、証明書の集中管理もできるのでセキュリティと管理性を向上できます。もちろんSSLで暗号化したトラフィックに対してもインテリジェントなレイヤ4-7スイッチングが可能で可用性とスケーラビリティを向上できます。
─レイヤ2/3製品およびレイヤ4-7製品の実績は現在、どれくらいでしょう。
ジョンソン氏
これは第三者であるDell'Oro Groupのリサーチ結果にはっきりと表れています。この結果によれば、Foundryは10GbEレイヤ3分野で、2004年第4四半期だけでなく通年でマーケットシェア1位です。これは4年連続の記録ですね。具体的にはポート出荷ベースで34.5%、売り上げベースで38.8%といったシェアです。またレイヤ4-7ソリューション分野でも、ポートベースで2004年の出荷実績が56万ポート、過去6年間の累計出荷は56万2000ポートに達し、ワールドワイドでのインストールベースで1位です。
─2005年前半の重点製品にはどのようなものがありますか。
ジョンソン氏
まず、レイヤ2/3のコンパクトモジュール型スイッチ「SuperX」ファミリがあります。これが重要なのは、ラックあたり業界最高密度と業界最低価格/ポートを実現しうる点です。これにはエッジ向けFastIron SuperXと、コア向けTurboIron SuperXおよびBigIron SuperXの3つがあります。これらを組み合わせれば、10GbE/GbEスイッチ分野では業界でもっともパワフルなものを提供できます。またSuperXが新たに加わったことで、FES XやBigIron MG8を補完することができ、エンタープライズやサービスプロバイダは、小規模、中規模、大規模すべての環境をカバーできることになります。
加えて先日、サービスプロバイダ向けに超低価格ハイパフォーマンスルータ「NetIron IMR640」と「NetIron 2404」2製品を発表しました。両製品は、このたび東京で発表したのが世界初で、米国と欧州では3月上旬開催予定のCeBIT以降となります。これらの製品により、従来の10分の1という破格の価格で、SONET/SDHネットワークと相互的に機能しながらレイヤ2/3サービスを提供するとともに、IPv4からIPv6への移行をもサポート可能になりました。
■ 日本市場を引き続きフォーカス、要員の大幅増員も
─ジョンソンさんは、かねてよりワールドワイドの売り上げの中で、日本での比率を15%程度まで高めたいというお気持ちがあったと思いますが、現状はいかがですか。
ジョンソン氏
実は2004年、米国でのエンタープライズ系の売り上げがかなりの伸張をみせました。このため、逆にFoundry全体の売り上げに占める日本の割合は、相対的に思ったほど伸びない結果になってしまったのです。おおよそ、ワールドワイドのうち10%程度で今後も推移していくのではないでしょうか。しかし、日本市場はFoundryにとって2番目に重要な市場であることは変わりません。今年は日本でのスタッフ数を倍増させ、戦力強化をねらいたいと考えています。
─日本の顧客数は1年前、約1500社以上ということでした。この1年間で新規ユーザーはさらに増えましたか。
ジョンソン氏
もちろん増大しています。日本では四半期ごとに50~75社程度は獲得し続けています。したがって、この1年間で200~300社近く新規のお客様が付いたことになり、合計で2000社に迫る勢いです。この中には、昨年ご紹介させていただいたお客様以外に、さくらインターネットやWIDEプロジェクト、東京大学、朝日ネット、東京都庁などが含まれているほか、多数のお客様にお使いいただいています。また、すでにFoundry製品を導入いただいたお客様からのリピートもあります。
─それらの新規顧客の中で特筆すべき例はありますか。
ジョンソン氏
IPv6環境にも対応しているNetIron 40Gルータは、日本では好評な機種の1つであり、数社のサービスプロバイダに設置されているはずです。また10GbEソリューションを導入いただきました顕著な例として、東京大学があげられます。ここでは、BigIron MG8スイッチやNetIron 40Gルータなどを、東京からスイスまで世界最長のランドリンク環境でお使いいただいています。同時に速度でも記録、もっとも速いスループットを達成しました。また、日本から始まった大変重要な傾向としては、FES Xを利用してGbEから10GbEへのBGPアグリゲーションをしようとする動きがあります。
─このほど、東京に開設されましたテクニカルアシスタンスセンタ(TAC)について教えていただけますか。
ジョンソン氏
先ほど触れましたように、日本のお客様が2000社にも迫る勢いで伸張している中、よりクオリティの高いサービス提供が求められています。そこで、24時間365日のサポートを行うTACを、Foundryのカリフォルニア本社以外で初めて開設しました。これにより日本のお客様は、業務時間外であってもいちいちカリフォルニアにまでお問い合わせいただく必要がなくなり、時や場所に関係なく日本語で24時間いつでも必要なサポートをお受けいただくことができます。
■ 一つ一つ得意な市場を増やしてユーザーに魅力をアピール
─今後、Foundryでは100Gbpsという超高速ネットワークを視野に入れておられると思いますが、現状はいかがですか。
ジョンソン氏
それをお話するのは時期尚早でしょう。しかし2005年夏のNetWorld+Interop Tokyoでは、次世代製品をお目にかける予定ですので、ご期待ください。これは100GbEの世界に一歩近づく製品、ソリューションです。それと同時に、今後1年、Foundryが集中して取り組むことは、10GbEのポート密度を高めることと、ポートあたり単価をさらに下げていくことです。これにより、マスマーケットに向けて10GbEはさらに魅力的になってくるにちがいないと確信しています。
─Foundryの競合でもあるジュニパーネットワークスのT640やシスコシステムズのCRS-1などは、マルチシャーシ化によってスケーラビリティを確保しようとしていますが、これらに対抗する製品は考えていますか。
ジョンソン氏
Foundryではこのクラスの場合、あくまでシングルシャーシでパフォーマンスを上げ、そして価格を下げることを基本的な戦略としています。特に、Ethernet上でのワイドエリアサービスでは、すべてのサービスをいかに低価格で提供できるようにするかが重要です。これはサービスプロバイダの方たちの共通したご意見であると考えています。
─Foundryが今日、レイヤ2/3あるいはレイヤ4-7のスイッチ市場で首位にあり、また6年連続で黒字なのは、全フィールドではなく、一つ一つ確実に収益を確保していく、いわば“オンリーワン”戦略にあると思えます。この基本スタンスは今後も踏襲されますか。
ジョンソン氏
特化したところでナンバーワンになる、という戦略自体に変わりはありません。ただし常に同じ専門分野だけということではなくて、それに付随した周辺市場でもナンバーワンになりたいですね。確かに全体としてはシスコには及ばないのかもしれませんが、同社よりもうまくやれるという自信はあります。Foundryは成長市場にフォーカスしつつ、ハイパフォーマンスや高可用性、拡張性が重要とお考えのお客様をターゲットにし、そうしたお客様との直接的な関係を大切にします。こうして一つ一つ得意な市場を増やしていくことで、お客様にFoundryの魅力をアピールしていきたいと思っています。
■ URL
米Foundry Networks
http://www.foundrynetworks.com/
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( 真実井 宣崇 )
2005/03/04 10:18
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