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副社長兼CEOの青野慶久氏
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サイボウズ株式会社は3月8日、2004年度の連結決算と2005年度の事業計画を発表した。2004年度の売上高は前年比10%増の29億2300万円、営業利益は前年比9%増の5億1500万円、経常利益は前年比16%増の5億2400万円、当期純利益は前年比19%増の3億900万円と、増収増益という結果となった。
セグメント別に見ると、サイボウズOfficeおよびサイボウズ ガルーンなどのエージェント事業の売上が25億2600万円で売上全体の86.5%を占めているが、同社経営管理本部長兼CFOの細谷賢由氏は「2003年度のエージェント事業が全体の92.1%を占めていたことを見ると低くなってきている」と、グループウェアの会社というイメージからの脱却につながる動きが進んでいると強調した。特に大きく伸びたのはナレッジ・CRM事業で、売上は3億3600万円と全体の11.5%となった。
2005年度の事業計画について、副社長兼CEOの青野慶久氏は「新規顧客の拡大、クロスセールス、継続収益の拡大、ビジネスポータル事業の拡大、M&Aの5つを行う」とした。新規顧客の拡大については、「ターゲットを明確化し、最適な商品を提供することで、国内のシェアを高めていく」と青野氏は説明。今夏にはサイボウズ ガルーンの新バージョンの投入も予定されており、現在のグループウェア国内シェア24%を2007年には42%まで高めるとしている。
また、これまで売り切り中心であった商品を継続サービスへ移行することで、継続した収益の拡大を図るとしている。既存ユーザーがそのほかの商品を必ずしも買っていないことについては、「これまで製品単位で事業部を作っていたため、既存顧客に対し横への商品展開がうまくいっていなかった。これを職能制にシフトすることで、販売・営業・開発などを効率的に行っていく」と、既存顧客へアプローチしやすい体制にあらためたと発表した。ASPサービスを今後強化することについて、「企業内のビジネスパーソンを対象としたポータルサイトを強化し、広告ビジネスやアフィリエイトによるフィービジネスを拡大したい」とした。
■ 社長交代について「企業価値の向上に専念するため」
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代表取締役社長の高須賀宣氏
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なお、同社は4月に現代表取締役社長の高須賀宣氏から青野氏に社長を交代することを発表している。これについて高須賀氏は、「一部では会社内でクーデターが起きたのではないかといわれているが、そんなことはない。今回の交代は役割分担が大きな目的で、サイボウズのグループ化の推進が私のテーマとなる」と説明した。
具体的には、企業価値の向上を優先事項の一番目であるとした。「上場しているからには、時価総額の向上こそが株主に対して行う第一の事項。これまでサイボウズというと、手堅い経営というイメージが強かったとおもうが、今後は事業のスピードを高めていく。そのためには、必要なものであればM&Aを行って手に入れていく」と、企業価値を高め、そこで得られる資金を積極的に次の事業に投資していくと述べた。
M&Aについては、昨年度も実施するとしながら結果的には1件も行っていないことに触れ、高須賀氏は「いざ進めようとすると、提携したい相手を得るには手持ちのキャッシュが少なく実現できなかった」と説明。「今期は必ずM&Aを実施する」と、リスクをとっても積極的に行動する姿勢を示した。
■ URL
サイボウズ株式会社
http://cybozu.co.jp/
プレスリリース
http://cybozu.co.jp/company/news/release.cbml?f=20050308_1
( 福浦 一広 )
2005/03/08 18:29
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