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「2005年は64ビットへフルモデルチェンジの年」、インテルが宣言


取締役エンタープライズ&ネットワーク・ソリューションズ本部 本部長の町田栄作氏
 インテル株式会社は3月15日、3月に米国で開催された開発者向け会議「IDF Spring 2005」を踏まえ、2005年度のエンタープライズ事業戦略についての説明会を行った。

 2005年のエンタープライズ製品について、同社取締役エンタープライズ&ネットワーク・ソリューションズ本部 本部長の町田栄作氏は、「今年は、64ビットプラットフォームへの移行、プラットフォーム化の推進、マルチコアプラットフォーム化への展開の3つを柱とした活動を行う」と説明。「企業において、プロセッサの64ビット化は進んでいる。また、マルチコア化によるパフォーマンスの向上も企業にとってメリットが大きい。サーバーだけでなく、企業向けクライアントPCでも64ビット化を進める」と、2005年を64ビット製品へのフルモデルチェンジの年にすると述べた。


「Truland」「Bensley」、プラットフォームにもコードネーム

エンタープライズサーバープラットフォームのロードマップ。IDFではXeon MP・Xeon DP関連のプラットフォームが新たに発表された
 今回のIDF Spring 2005でエンタープライズサーバープラットフォームで新たに発表されたのが、Xeon MP系では「Truland」「Reidland」、Xeon DP系は「Bensley」、Itanium 2は「Richford」などのコードネームがつけられたプラットフォーム。同社エンタープライズ&ネットワーク・ソリューションズ本部プラットフォーム&ソリューションズ マーケティング統括部長の平野浩介氏は、「今回のIDFでは、プラットフォームベースでコードネームをつけた。プロセッサだけでもたくさんのコードネームがある中で、また増えたかとおもわれるかもしれないが、プロセッサやチップセットなどの個々の製品で見るのではなく、それらを統合したプラットフォームを1つの単位として捉える」ため、プラットフォームにもコードネームをつけたと説明した。

 今回新たに紹介されたTrulandは、Xeon MPプロセッサを搭載したプラットフォーム。64ビット対応、デュアルの667MHzシステムバス、RAS(Reliability, Availability, Serviceability)機能の強化、などが技術的な特長となっている。「アプリケーション性能の向上はもちろん、信頼性・高速化・低消費電力などが図られている」(平野氏)ことから、ミッションクリティカルな分野にも対応できるとしている。また、2006年投入予定のデュアルコアプロセッサに対応したアーキテクチャとして、デュアルの667MHzシステムバスを紹介。「単一のシステムバスから独立したデュアルシステムバスにすることで、バス帯域を広くできた。このアーキテクチャは、デュアルコアプロセッサの利用時に効果的だ」と、同社が力を入れるマルチコアプラットフォームに対応している点を強調した。


コードネーム「Truland」のチップセット「E8500」のアーキテクチャ。デュアルのシステムバスによるシステム帯域の向上を実現している E8500チップセット。64GBメモリまで対応可能。そのほか、PCI Express x8を3つ、PCI Express x4を1つ搭載するなどバスも拡張している

仮想マシンのパフォーマンスを向上させる「VT」

VT(Virtualization Technology)。VT対応VMMにより処理性能を向上させている
 説明会では、同社の仮想化技術であるVT(Virtualization Technology)についての説明も行われた。VTは、VMwareなど仮想化製品のパフォーマンス向上を図るテクノロジー。「従来、仮想マシンを作るためのVMM(Virtual Machine Monitor)は、例外処理を行うことで仮想化を実現していたが、これではかなりオーバーヘッドがかかっていた。これを低減するのがVT」(平野氏)と説明。「仮想化技術は、古いOSからの移行を段階的に実施するのに適している。また、サーバーの統合などコスト面でも有効」と、今後注目されるテクノロジーであるとした。

 マルチコアへの移行については、「現在15のマルチコアプロジェクトがすべてのセグメントで進行中だ。2006年にはサーバー製品で85%以上、デスクトップおよびモバイル製品では70%以上がマルチコアになるだろう」と平野氏は説明する。なお、同社がいうマルチコアとは、「シングルダイまたはマルチチップをパッケージ化した」ものを指している。実際、IDFで発表された5種類のマルチコア製品も、シングルダイの「Montecito」、マルチチップの「Presler」など、複雑な製品構成となっている。平野氏は、「インテルでは、目的に応じたマルチコア製品を用意している。また、コンパイラやアプリケーションなど、総合的にマルチコア化を推し進めるエコシステムにも力を入れている」と、他社のマルチコア製品との違いを強調した。


インテルのマルチコア。シングルダイとマルチチップなどで大きく3つに分かれている プロセッサのマルチコア移行ロードマップ マルチコア対応プラットフォームのロードマップ


URL
  インテル株式会社
  http://www.intel.co.jp/
  IDF Spring 2005レポートリンク集(PC Watch)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/link/idfs.htm


( 福浦 一広 )
2005/03/15 16:12

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