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「シンプルなITインフラ環境の重要さ」を語る、米IBM副社長


米IBMの仮想化ソリューション担当副社長、ナイジェル・デッソー氏
 日本アイ・ビー・エム株式会社は3月17日、プレス向けのセミナーを開催し、米IBMの仮想化ソリューション担当副社長、ナイジェル・デッソー氏が、仮想化ビジネスについての説明を行った。

 デッソー氏はまず、IBMが繰り返し主張している「オンデマンドビジネス」に触れた。この概念は要するに「外部の変化に対して柔軟かつ迅速に対応できる企業を目指す」というものだが、同氏はこの実現のためには、ITインフラのシンプル化が重要な要因の1つになると主張し、その理由を説明した。

 「ある調査会社のリサーチによれば、企業がサーバーなどの購入に要している費用は、ここ10年の間ほぼ変わっていない」(同氏)とのことだが、毎年増加するインフラに対応するため、主に人件費からなる管理費用は7倍になっているというのだ。このような状況では、企業の多くは、ITに投資し続けるのは難しくなる。

 つまり、「ITインフラのシンプル化で人件費を抑制できなければ、オンデマンドビジネスには移行できないと、アナリストも分析している」(デッソー氏)ということなのである。そこでIBMでは、仮想化によってこうした問題を解決しようとしているという。「当社にはメインフレーム分野で40年の蓄積がある。これをITインフラに導入することで、効率を改善できると考えている」としたデッソー氏は、現在15%程度にとどまっているITインフラの稼働率を、メインフレーム並みの高水準に引き上げていきたいと述べた。

 この稼働率向上のための取り組みにおいて、欠かせないのが仮想化である。一口に仮想化と言ってもさまざまあるが、IBMではこれを4段階に分けて考えている。最初の段階としては、同じリソースをまとめるというレベルの話で、ここでは、ベンダが異なる製品も含め、ストレージならストレージ同士、IAサーバーならIAサーバー同士を、あたかも1つのストレージ、IAサーバーであるかのように扱える手段を提供するという。これを用いると、たとえば10TBストレージ×3ではなく、30TBストレージ×1として扱えるため、管理コストの節約が可能になる。

 そして次の2つ目の段階では、別種のリソースをまとめられるようにし、3つ目の段階ではさらに、全社規模で仮想化したリソースをまとめられるようにする。加えて最後の段階では、企業の垣根も越えて、パートナーや顧客などの外部リソースとの、「企業間の仮想化」を実現させようとしている。


 デッソー氏はここで重要な点として「これらはすべて、IBMの既存の技術を活用して実現できる」ことを挙げ、「たくさんのお客様がこうした環境への移行をしはじめている」と現状を語る。もっともまだ現段階では、「メインフレーム以外の世界では新しい技術であること、また2段階目以降では、IT部門やその他の事業部が縦割り組織ではなく、横断的に運営される必要があること」などから、こうした顧客のうち90%が、前述した1つ目の段階にとどまっているという。

 しかしデッソー氏は「仮想化によって、企業はシステムを展開する際のコスト、スピードを改善可能。まだシステムを容易に本番稼働させられるメリットもあるし、変更をユーザーの目に見える形で、透過的にできる」と利点を強調。「今は一部のアーリーアダプタのみが2段階目以降を導入しているが、今後1~2年で25~30%の企業が、その段階へ進むだろう」と述べ、ITシステムの仮想化は今後も進んでいくとの見解を示した。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/


( 石井 一志 )
2005/03/17 16:34

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