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“講師はマイクロソフト”3大学で知財などの講座を開設


マイクロソフト 執行役 デベロッパーマーケティング本部 本部長 鈴木協一郎氏

The Imagine Cup2005の概要
 マイクロソフト株式会社は、2005年4月より国内3つの大学において、共同で講座を開設すると3月17日に発表した。

 今回発表されたのは、青山学院大学大学院における「知的財産総合講座」、九州大学大学院における「実エンベデッド(組込)ソフトウェア開発工学講座」、早稲田大学におけるセキュリティ技術育成を目的とした「マイクロソフト寄付講座」の3つ。うち、早稲田大学のマイクロソフト寄付講座は2004年より開講しており、今回が第二期となる。マイクロソフトはこれらに同社役員・社員の派遣や、ソフトウェア・教材の提供を行う。

 開設される講座は、いずれも「e-Japan」や「知的財産立国」などの日本のIT戦略に呼応すると同時に、同社でも重要な位置づけとなる知識や技術に関するものであり、講義・講演を通じてこれらの人材育成や啓もう活動を推進する。

 同社はこれまでも各地の大学に対し、ITに関する講座開設、IT環境の整備、教師らのスキルアップの支援するなど、人材育成に向けた取り組みを活発化している。

 マイクロソフト執行役デベロッパーマーケティング本部本部長の鈴木協一郎氏は、2004年に地方独立行政法人法が施行されたことによる国公立大学の独立行政法人化や、人口減少にともなう大学志願者の減少などから「生き残り競争が激しくなっていく」ことを指摘し、「マイクロソフトは教育に携わる方々にITを用いた価値向上の機会を提供する」と述べた。大学をはじめとした各種教育機関は、IT化を進める上でそのノウハウを必要としており、学生らに啓もうしたいマイクロソフトの思惑と一致する。

 しかし、教育機関への取り組みを強化しているのはマイクロソフトだけではない。ノベルは同日、中央大学に同社のLinux Desktopが導入されたことを発表した。教育機関への導入に向けたベンダー間の競争は年々激しさを増している。

 Linuxをはじめオープンソースソフトウェアが多く採用するライセンス「GPL(GNU Public Lisence)」は、知的財産権に対する考え方がマイクロソフトと異なる部分が多いため、学生の間でこれが広まるとなると同社にとって厄介なことになる。また、OSや開発ツールなどにおいても、できるだけ早く自社製品環境に触れてもらい優秀な人材を確保しておきたいところだ。

 同社は教育機関以外にも、ソフトウェアの特別価格での販売や、技術コンテストの開催など、学生に対し直接同社製品の提供や利用する機会を提供し「囲い込み」を図っている。

 3月30日に学生を対象としたイベント「The Student Day 2005」を3月30日に開催し、ここでITに関する技術コンテストの世界大会「The Imagine Cup 2005」のソフトウェアデザイン部門の日本代表を決める。The Imagine Cup 2005は、世界40カ国以上の学生らが参加。昨年のブラジルに続き、今年は横浜で開催され、賞金総額2000万円が用意される。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2228
  プレスリリース(中央大学におけるノベル製品の採用)
  http://www.novell.co.jp/pressrel/20050317_1.html
  The Student Day 2005
  http://www.microsoft.com/japan/msdn/student/studentday/
  The Imagine Cup 2005
  http://www.microsoft.com/japan/msdn/student/imaginecup/2005/

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  ・ マイクロソフト、早稲田大学とセキュリティ分野における人材育成で提携(2003/11/17)


( 朝夷 剛士 )
2005/03/17 18:29

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