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米EMC Corporation EMCソフトウェア上席副社長兼チーフマーケティングオフィサー ディビット・マイラム氏
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米EMC Corporation EMCソフトウェア上席副社長兼チーフマーケティングオフィサーのディビット・マイラム氏は、同社のソフトウェア事業を拡大し、近いうちにMicrosoftやOracleらに次ぐ世界5位の売上を達成すると、3月18日に行われた記者説明会で自信を見せた。
かつてストレージなどハードウェア・システムが売上の大半を占めていたEMCは、ソフトウェア企業を中心に「ここ数年で15社」(マイラム氏)を買収し事業を急速に拡大、2004年度は対前年比43%売上を伸ばした。EMC全体の売上においては27%を占め、サービス事業と合わせるとハードウェアを上回る数値となった。
買収した代表的な企業としては、ストレージ管理のLegato、コンテンツ管理のDocumentum、ネットワーク管理のSmarts、サーバー仮想化のVMwareなどが挙げられる。VMwareは若干異なるが、基本的に同社のハードウェアと組み合わせたストレージ管理ソリューションの強化を目的としたものといえる。事実、マイラム氏が示したIDCの市場調査結果によると、ストレージ管理やレプリケーション、SRM(Storage Resorce Management)でトップシェアを獲得している。唯一バックアップにおいてVERITASらに遅れをとっているが、「近いうちに必ず変えていく」とマイラム氏は自信を示す。
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2000年と2004年のEMCにおける売上比率
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ソフトウェア企業の売上順位
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分野別の対象製品と技術元
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マイラム氏によると、すでに米国ではVERITASからの移行を促す「Safe Switch」というキャンペーンを展開しており、「すでにインストールベースで60のシステムで置き換えに成功した」という。「Symantecとの合併により多少の混乱が発生する、我々にとって好機だ」と意欲を見せるマイラム氏。SymantecとVERITASとの合併により、ソフトウェアの売上としてEMCより上位にランキングされるだけに、ターゲットを絞った展開を今後も続けていく方針だ。
ストレージ管理においては、これにかかわる多くのベンダーがILM(Information Lifecycle Management)の確立に力を注いでいるが、EMCは「ILMを最初に提唱した」企業として、ソフトウェアにおいても重点的に強化を図っている。マイラム氏は「コンテンツにインテリジェンス(知識)を持ち合わせることができる」点を他社との差別化要因に挙げる。
ILMは、データの種類や作成された時期によって重要度を判別し、パフォーマンスや信頼性、コストに見合った最適なストレージ装置に自動的に振り分けて保存するというのが、各社でほぼ共通した見解だが、EMCはDocumentumなど買収した企業らの「技術の融合」(マイラム氏)によって、データの判別や検索などで他社をリードしていると主張。メールやWebコンテンツなどデータベース化されていない非構造化データの一元管理が可能だという。
同社は従来、こうしたソリューションを大企業向けに提供してきたが、今後は中小規模(SMB)に向けても本格的に取り組む構えで、すでに2004年後半にはSMB向けバックアップソフトベンダーのDantz Developmentなどの買収を発表している。マイラム氏は「ILMというビジョンへの取り組みはまだ歩き始めたばかりで完成したとはいえない」と、今後も内部開発と買収によるソフトウェア事業の拡大を続ける方針を述べた。また、その一例として、「長期保存したデータを必要に応じて完全消去する“デジタルシュレッディング”」といったソリューションを今後提供していく考えを示した。
■ URL
EMCジャパン株式会社
http://japan.emc.com/
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( 朝夷 剛士 )
2005/03/22 10:43
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