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日本HPら4社、「現場に近い」RFID検証施設を5月に設立


HP RFID Noisyラボ・ジャパンのロケーション

日本HP マーケティング統括本部 インダストリマーケティング本部 三宅信一郎氏

4社の役割
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は3月23日、RFIDの検証施設「HP RFID Noisyラボ・ジャパン(以下、RFID Noisyラボ)」を、トーヨーカネツソリューションズ株式会社(以下、TKSL)、アイデックコントロールズ株式会社(以下、アイデック)、株式会社スリークと共同で、千葉県木更津市にあるTKSLの工場敷地内に設立すると発表した。

 RFID Noisyラボは、製造や物流などの現場に近い環境でUHF帯RFIDの実証実験が行える施設。工場敷地内に設立し、製造業や流通・小売業などで利用されるコンベヤ装置やパレット、パッケージ、フォークリフトなどを用意して、機器が内蔵するモーターなどから発せられる電波的ノイズがあるなど、「極めて現場に近い環境を再現する」(日本HP マーケティング統括本部 インダストリマーケティング本部 三宅信一郎氏)ことができるという。なお、HPでは米国に続いて2つ目のRFID検証施設となる。

 また、実証実験に加えて4社は、RFIDタグや読み取り装置の設置や物流システムの構築、ITインテグレーションなど、それぞれのノウハウを生かしたコンサルティングなどのサービスを合わせて提供する。5月末より運用開始を予定しているが、UHF帯電波がRFID用途に割り当てられる予定の電波法改正時期(4月を予定)により前後する場合がある。

 実証実験では(1)速度調整が可能なベルトコンベヤを利用した製造工程でのRFIDタグの読み取りシミュレーション、(2)商品の受け入れや出荷検品を行うゲートでの業務プロセスシミュレーション、(3)搬送や仕分け段階におけるベルトコンベヤ上の荷物のRFIDタグ読み取りシミュレーション、の3つのシナリオを用意し、ユーザーの利用環境に即した形での検証を行うことができる。また、短期間集中検証や、精度・限界を確認する検証などサービスメニューが用意され、要望に応じたカスタマイズも可能。

 RFIDタグや読み取り装置は、日本HPの推奨品やアイデックの実績を基としながらも、「中立的な立場でユーザーの問題解決に最適な製品の提案」(三宅氏)を行うという。さらにRFIDの読み取り検証だけでなく、日本HPのプラットフォームによるRFIDシステムを利用し、読み込まれた情報の処理やシステムへの連携を含めた実験ができる。なお、利用料金は最低で200~300万円程度を想定している。


RFID Noisyラボの機器の配置イメージ 入出荷におけるRFID読み取りのイメージ 搬送仕分け段階のイメージ

 三宅氏はRFID Noisyラボでの実証実験を「RFIDの導入企画と、現場での実証実験の間」に位置づけられるとしている。TKSL執行役員技術生産本部SI部長の岩瀬緑朗氏は「これまでオフィスの中など“きれいな”場所にある施設はあったが、現場の環境に即した施設はほかに見あたらない」と優位性を挙げ、「きれいな環境で実験しても成果にはならない。机上の理論をそのまま現場に持っていくことは、リスクが高く成功する確率も低い」と述べ、まず現場に近い環境でテストすることで精度を上げ、最後に現場でシステムを完成させるべきとした。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  トーヨーカネツソリューションズ株式会社
  http://www.tkk-solutions.jp/
  アイデックコントロールズ株式会社
  http://www.idec-controls.com/
  株式会社スリーク
  http://www.3-q.co.jp/
  プレスリリース
  http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2005/fy05-064.html

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( 朝夷 剛士 )
2005/03/23 19:08

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