Enterprise Watch
最新ニュース

SAPジャパンなど5社、オープンソースを用いたBI環境の検証プロジェクト


住商情報システム 生産技術センター オープンソース技術チーム長の村田勝之氏
 SAPジャパン株式会社は3月31日、5社で構成している「SAP/MaxDBコンソーシアム」において、BI(Business Intelligence)ツールの新規導入を検討している企業を対象とした、オープン環境での「SAP Business Intelligence」(以下、SAP BI)稼働検証プロジェクトを開始すると発表した。同コンソーシアムでは、実際の稼働環境にて検証作業が可能な企業を3社募集する。

 SAP/MaxDBコンソーシアムは、住商情報システム、ノベル、ビーコン インフォメーション テクノロジー(以下、ビーコンIT)、日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)とSAPジャパンの5社によって、2004年11月に設立されたコンソーシアム。Linux上でSAP製品を運用するためのノウハウを蓄積することが主な目的で、SUSE LINUXと、MySQLのオープンソースRDBMS「MaxDB」を、その際のプラットフォームに用いる。

 このSAP/MaxDBコンソーシアムに関して、住商情報システム 生産技術センター オープンソース技術チーム長の村田勝之氏は「日本ではオープンソースソフトのビジネスは世界と比較して遅れているが、お客様への新しい選択肢として明確に提供していく必要がある。企業でのLinux利用は、インターネット系サーバー用途から、DBサーバー、アプリケーションサーバーにシフトしてきているし、欧州ではSAP R/3システムがLinuxで稼働している実績がある。日本でも普及推進に努めていきたい」とその意義を説明。昨年は主にSAP R/3の稼働テストを行っていたが、「商用ベースで安心して使ってもらえるレベルを確認した」(同氏)ことを受け、2005年1月からは新たにSAP BIにフォーカスした展開を企画していたと述べた。

 今回の稼働検証プロジェクトにおいては、全体的なSIと検証プロジェクトの管理を住商情報システムが行うほか、SAPジャパンがSAP製品の、ビーコンITがMaxDBの、ノベルがSUSE LINUX Enterpriseの、ライセンス/サポート/トレーニングをそれぞれ提供し、日本HPのIAサーバー「HP ProLiant」上でシステムを構築する。

 製品の提供が無償で行われるわけではないが、構成要素はすべてテスト環境で動作確認が行われているため、参加企業はワンストップでシステムを導入でき、製品の検証・導入における工数やコストを削減できるという。また、検討から開発までの各段階において、コンソーシアムメンバー各社からの技術サポートを利用できる点、無償でMaxDBの管理者向けオンサイトトレーニングが提供できる点、同コンソーシアムが作成した手順書が無償で利用できる点、などのメリットも享受できるとのこと。

 なお、MaxDBは、もともと独ベルリン工科大学で開発されたRDBMSで、1997年からはSAP DBの名称で、SAP R/3のデータベースとして長く利用されている実績がある。2003年5月にMaxDBブランドへ変更された後は、主にMySQLによって開発が行われてきたが、依然としてSAP製品との親和性は高く、基幹系運用に耐える機能を備えているという。またデータベース管理者へのトレーニングを含め、導入、運用にかかる手間やコストがほかのRDBMSよりも少ないとのことで、こうした点が評価され、SAP/MaxDBコンソーシアムの中核に位置付けられている。



URL
  SAPジャパン株式会社
  http://www.sap.co.jp/
  プレスリリース
  http://www30.sap.com/japan/company/press/press.aspx?PressID=4307


( 石井 一志 )
2005/03/31 16:44

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.