|
同社が考えるIT投資のビジネスバリュー。ある一定の時間内にどれだけの仕事ができたかによってIT投資の価値が決まる
|
マイクロソフト株式会社は4月12日、「改めて考えるOfficeソフト、デスクトップOSの価値」と題したプレス向けラウンドテーブルを開催した。オープンソースのオフィスソフトの導入事例などが発表されている現状に対し、同社としてあらためてアピールしたいというのが開催の主旨だ。
同社の「Microsoft Office」は、市場で圧倒的なシェアを獲得しているオフィスソフト。しかし、最近ではStarSuiteやOpenOffice.orgというコミュニティで開発されているオープンソースのオフィスソフトの動きが活発になっている。特にWindows+Officeに対して、Linux+オープンソースのオフィスソフトといった比較がなされることが増えている。また、いくつか採用された事例が紹介されているが、同社インフォメーションワーカービジネス本部 製品マーケティンググループの土方飛鳥氏は「Officeについて説明する機会が新製品の発売のときしかなかったことを反省し、今回説明する機会を設けた」と主旨を説明した。
|
オープンソースのオフィスソフトとの比較のポイント
|
同社が主張するOfficeとオープンソースのオフィスソフトとの比較のポイントは、コスト、リスク、バリューの3つ。
コストについては、オープンソースのオフィスソフトのライセンス料が無償・廉価である点が強調されているが、土方氏は「初期投資に目が行きがちであるが、移行にかかるコストやトレーニングコスト、メンテナンスなど、運用時にかかるコストがあることを意識してもらいたい」と説明。高いといわれている価格についても、「Officeであれば、Webでも電話でもメールでも、必要なときに必要な場所でサポートを受けられる」と、トータルでのメリットを強調した。
リスクについては、既存ファイルとの互換性の問題が一番大きい。多くのオフィスソフトはOffice文書との互換性を強調しているが、「完全に再現できてはいない」と一蹴。実際にデモンストレーションを行い、Office文書が正しく表示されない様子を再現した。「マイクロソフトでは、Officeの開発に多額の費用をかけているが、それは新機能の開発だけではない。重視しているのは、過去のバージョンとの互換性で、これに多額の費用をかけている」と、互換性を重視している点を強みとして紹介した。互換性については、Office 95とOffice 97で互換性の問題を同社自身が経験しており、互換性の説明には力が入っていた。
バリューについては、メニュー体系や操作性など、これまで利用していたソフトとの親和性の高さがOfficeにはあるとした。「他のオフィスソフトに切り替えた場合、エンドユーザーは使い方をあらためてマスターしなければいけない。そのためのトレーニングも必要になるし、またサポートも必要になる」と、利便性の面からみても乗り換えが得策ではないと説明した。
オープンソースのオフィスソフトには注目が集まるものの、まだまだ普及にはいたっていない。この段階で同社がOfficeの優位性を強調するのは、LinuxがWindowsの対抗馬として注目を集めたときと同様にイメージが先行することを防ぐ狙いがあるようだ。「導入事例が紹介されると、数としては少数だが十分利用できるのではないかというイメージを与えるおそれがある」と土方氏は指摘。“間違った”イメージは早期に修正していく考えを明確にした。
■ URL
マイクロソフト株式会社
http://www.microsoft.com/japan/
( 福浦 一広 )
2005/04/12 20:06
|