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ALL-IP化による、次世代のIPシステムの構成イメージ
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株式会社富士通研究所は4月8日、同社のコア研究所が取り組んでいるITシステムのテーマ「ALL-IP化による高度なITシステムの実現」に向けた研究の成果を披露した。
富士通研究所では、あらゆる接続をIP化することによって、高度なITシステムをより簡単に、また低価格で実現できるようになると考えており、そのためのインフラとして、10Gigabit Ethernet(以下、10GbE)スイッチの開発を進めてきたという。しかし現在、10GbEスイッチとして一般的なネットワークベンダが開発しているものは、キャリア向けの多機能・大型スイッチが主流である。
そこで富士通研究所では、「サーバー間やサーバー・ストレージ間の接続に用いるには、こうした製品では機能が多すぎる。必要なのは、管理が容易で、小型で、低遅延のスイッチ」(ITコア研究所 所長代理の木村康則氏)と考え、不要と思われる機能を削ることで、パフォーマンスを維持したまま小型化するアプローチを採用。ついに昨年、10GbEスイッチの1チップ化に成功し、これを用いて低価格・小型の10GbEスイッチを製品化している。
この製品の最大の特徴は、レイヤ2に特化することで、トータルスループット240Gbps、遅延時間450nsという高い性能を実現したこと。「10GbEという標準技術を用いながら、InfiniBandやMyrinetといった特種用途向けの技術とほとんど変わらないパフォーマンスを達成した。コストの面で大きなメリットがある」と、同社はその意義を強調した。ただし、TCP/IPを利用する場合にどうしても避けられないこととして、CPUへの負荷が高い、といったなどの問題が発生してくる。それらに関しては今後、ASICベースのTCPオフロードエンジンの開発など、さらなる技術開発によって課題を解決していく考えだ。
また1チップ化によって、12ポートの10GbEスイッチで高さ1U~2Uと、競合製品の1/10の体積を実現した点、10GBASE-CX4をサポートし運用が容易な銅線に対応できた点にも意義があるとしており、富士通研究所では今後の普及拡大をにらみ、製品開発を継続して行う意向。まず、近日発表される予定の次期LSIでは、リンクアグリゲーションやIGMP/MLDスヌーピング、QoS、低消費電力化を実現するほか、今後は、ポート数の増大、さらなる低消費電力化に向けて取り組んでいくとしている。
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10GbEスイッチLSIを手に説明する、ITコア研究所 所長代理の木村康則氏
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1チップ化された10GbEスイッチLSI
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10GbE対応レイヤ2スイッチ「XG800」。左のLSIを使用している
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■ URL
株式会社富士通研究所
http://www.labs.fujitsu.com/jp/
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( 石井 一志 )
2005/04/12 19:56
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