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「全体のシステムの中でストレージの最適化を」米Sunストレージ担当上級副社長が語る


 「ストレージ専業ベンダーとの大きな違いは、システム企業であるという点だ」、そう語るのは米Sun Microsystemsのエグゼクティブバイスプレジデントでありネットワークストレージプロダクトグループのマーク・カネパ氏だ。カネパ氏は同社のネットワークストレージ部門の責任者である。個人情報保護法やe-文書法などにより、企業にとって重要性が高まっているストレージについて、同社の戦略などを伺った。


ストレージ専業ベンダーはストレージを“システム”から分離したがっている

米Sun Microsystems エグゼクティブバイスプレジデント ネットワークストレージプロダクトグループのマーク・カネパ氏
 同社のストレージ製品は、Sun StorEdge 9000ファミリーなどのエンタープライズレベルの製品から、Sun StorEdge 6000ファミリーなどのミッドレンジ、ワークグループ向けのSun StorEdge 3000ファミリーやNASのSun StorEdge 5000ファミリーまで幅広く用意されている。しかし、これらの製品を単純にストレージ製品として売るのではなく、システムの一部として提供することを重視しているとカネパ氏は語る。「個別の製品は、それぞれ高いパフォーマンスを持ち、製品力も高いと考えている。しかし、Sunはシステム企業であり、OSやミドルウェアなどを含めて顧客の要望にあうシステムとして提供することを重視している」と、ストレージ専業ベンダーとの違いを強調する。

 「ストレージ専業ベンダーは、システムを持っていない。そのため、ストレージをシステムと分離して展開したいと考えている。しかし、Sunはシステム企業。ストレージ単体でも優秀な製品として提供もできるが、サーバーなどSunの他の製品と組み合わせることで、本当の能力を発揮できるように作られている」とカネパ氏は説明する。これをカネパ氏は、インフォメーションエコシステムと呼んでいる。ILM(インフォメーションライフサイクルマネジメント)がストレージでのデータ保管から廃棄までを見るのに対し、ILMを含むシステム全体を見て情報の最適化をおこなうのが、カネパ氏のいうインフォメーションエコシステムだ。

 「Javaカードを使ったシステムの場合、カードの情報の収集・認証・許可といったデータが発生し、そしてネットワーク上を流れる。つまり、システムに人がアクセスした時点からデータが発生するわけで、この部分から情報の管理を行うことで最適化を図る」のが、インフォメーションエコシステムというわけだ。このようにデータの発生段階から管理できることがシステム企業の強みであり、同社としてはこの点をストレージ専業ベンダーとの大きな差別化要因としたい考えだ。


システム全体で最適化することが大事

 日本市場については、「日本の企業はクオリティを非常に意識し、そして確立された技術を使う傾向が強いようだ。他の国では、製品としてはまだ早いが高度なテクノロジーを持つものを積極的に使う企業が多いが、日本は違う」とカネパ氏は分析する。企業の問題解決に必要なテクノロジーを時期尚早として見送る理由のひとつが、企業が独自にシステムを構築しているためではないかとカネパ氏はいう。

 「車を例に説明すると、システムはディーラーで売っている車。サーバーやストレージといった個別の製品は、車に例えれば、プラグやタイヤのようなもの。これまでは、パーツショップで自分の好きなものを選んで、自分の責任で組み立てていたかもしれないが、たとえいいパーツを揃えたとしても、それぞれを組み合わせて最適な能力が出るとはかぎらない。情報システムも同様。これまで目的に応じたサーバーを取り揃えていたものを、企業の目的に応じてシステムとして導入することで、コストの削減やシステムの複雑化を回避できる」と説明する。

 とはいうものの、企業には既存のシステムが存在するため、車のように簡単に買い換えるわけにはいかないのが現実だ。「時間はかかるだろうが、必要に応じてアップデートしてもらうことになるだろう。その際、自らシステムを構築するのではなくSIerなどのベンダーを利用することが、結果としてコストダウンにもつながる」とした。カネパ氏は、「企業に必要なシステムを提案できるのがSunであり、その結果Sunのストレージを利用してもらいたい」と、システム重視の戦略を強調した。



URL
  サン・マイクロシステムズ株式会社
  http://jp.sun.com/


( 福浦 一広 )
2005/04/13 16:00

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