IDC Japan株式会社は4月14日、国内産業別IT市場規模予測を発表した。
これによると、2004年第4四半期(10月~12月)の調査時点での2004年国内IT市場規模は前年比2.3%増の11兆2430億円であった。また、2004年~2009年までの5年間に年平均2.4%で成長し、2009年には12兆6426億円に達する見込みだという。
ただし、2005年のIT市場規模全体の成長率は1.0%に減速するとしている。この原因として同社は、景気回復局面が現在踊り場にあることに加え、ベンダー間の激しい競争によりIT製品やサービスの価格低下が続き、IT投資金額の急速な増加に反映されていないことを挙げている。また、企業ユーザーがIT投資に厳しいROI(投資対効果)を求めるようになったことも、市場の抑制要因となっていると指摘している。
国内IT投資動向を製品分野別にみると、これまでITサービス市場全体をけん引してきたアウトソーシングサービスに価格競争や契約規模の縮小といった傾向がみられるようになったことから、ITサービス市場は安定成長期に入ったとしている。
パッケージソフトウェア市場は、セキュリティやアプリケーションライフサイクル管理、ストレージ管理などのシステムインフラソフトが堅調な伸びを示している。
一方、ハードウェア市場は、低価格製品への需要シフトとベンダー競合による製品価格低下というトレンドに今後も大きな変化は見られないため、引き続き縮小すると考えられるという。
これらのデータから、同社リサーチアナリストの伊藤芳之氏は次のように分析している。「企業ユーザーは、これまでのIT投資に厳しい目を向けている。得られる効果を充分に吟味した上でないと、投資に踏み切ろうとはしなくなっている。その一方で、競争力の向上につながると確信できるIT投資には積極的に取り組んでいる。ITベンダーは、企業ユーザー自らが投資効果を把握できるようにITガバナンスを整備するよう働きかけた上で、付加価値の高い提案をすべきである」。
■ URL
IDC Japan株式会社
http://www.idcjapan.co.jp/
( 朝夷 剛士 )
2005/04/14 17:49
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