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セグメント別売上と営業利益
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キヤノン販売は、2005年度第1四半期(1~3月)の連結決算を発表した。
これによると、売上高は、前年同期比5%増の2027億円、営業利益は8%減の61億円、経常利益は7%増の63億円、当期純利益は23%減の25億円となった。
売上高は、前年同期を上回ったが、デジタルカメラを中心にコンシューマ製品分野における価格下落傾向が粗利率を圧迫。これが営業利益の前年割れにつながった。
だが、当初は売上高で2桁減などの大幅な落ち込みを見込んでいた産業機器が、前年同期比2%減の235億円となったこと、成長の柱と位置づけられるビジネスソリューション分野が6%増の1263億円となったことで、当初掲げた上期の計画に対しては、第2四半期は前年同期比減収減益でも達成できるという段階にまで到達している。
ビジネスソリューション分野は、売上高が前年同期比6%増の1262億円、営業利益は48%増の44億円。オフィス向けのMFP(マルチファンクションプリンタ)において、カラー化へのシフトが進展。カラー機は前年同期比3割以上の伸びを見せており、モノクロ機を含めて前年同期実績を上回る伸びを達成。さらに、同社が推進するMEAP対応アプリケーションが、今年3月には過去最高の販売実績を記録するなど、同社ならではのビジネスソリューション展開が大きな成果をあげているという。
また、LBP(レーザービームプリンタ)では、カラーLBPが台数では前年並みとなったものの、モノクロを含めたLBP全体では、台数ベースで前年実績を上回ったほか、カートリッジでは、カラーカートリッジが20%増の伸びを見せ、収益に貢献した。今後は、先頃発表したカラーLBPの新製品投入で、カラー化に拍車をかける考えだという。
ビジネスソリューション事業で特筆できるのは、保守サービスおよびITサービスで構成されるサービス・サポート事業の成長。今回の第1四半期決算では、売上高で前年同期比15%増の643億円となり、初めてビジネス機器の売上高を抜いた。367億円を占めた保守サービスでは、カラーMFPの保守売上の伸張が貢献。一方、前年同期比35%増以上の伸び率となり、276億円を売り上げたITサービスでは、MEAP対応のアプリケーションソフトやドキュメントマネジメントソフト「imageWARE」シリーズなどが順調に伸張。4月1日から施行された個人情報保護法、e文書法を前にした情報セキュリティ関連の需要増大が追い風になったという。また、第1四半期には大型案件があったことも売り上げ増に影響している。
コンシューマ事業は、売上高は前年同期比5%増の528億円、営業利益は70%減の4億円。デジタルカメラでは、EOS Kiss Digital Nが3月17日の発売とともに、同社の一眼レフ製品として過去に例をみない記録的な売り上げを達成。これによって、売り上げ増に貢献したものの、コンパクトデジカメの価格競争を背景にした利益の低下が営業利益の減少に大きく影響した。また、デジタルビデオカメラは、業界第3位となる約15%のシェアを確保したものの、DVDタイプへのシフトのなかで苦戦。インクジェットプリンタでは、課題だった複合機分野において、成果をあげつつあるという。
産業機器事業は、売上高が前年同期比2%減の235億円、営業利益は45%減の12億円。国内の半導体設備投資が昨年後半から緩やかな下降局面に入っていることが影響している。
なお、主要製品の第1四半期における台数別の対前年同期伸び率は以下の通り。
モノクロMFPが4%減、カラーMFPが32%増、MFP全体で8%増。モノクロLBPが3%増、カラーLBPが1%減、LBP全体で3%増。デジタルビデオカメラが2%減。コンパクトデジタルカメラが前年並、一眼レフデジカメが118%増、デジタルカメラ全体で9%増、シングルファンクションプリンタが6%減、マルチファンクションプリンタが5%増、インクジェットプリンタ全体で4%減。
■ URL
キヤノン株式会社
http://canon.jp/
決算短信
http://cweb.canon.jp/co-profile/ir/finance/results/index.html
( 大河原 克行 )
2005/04/22 16:20
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