日本ヒューレット・パッカード株式会社は4月22日、同日発表されたデュアルコアOpteronを搭載した「HP Proliant DL585/BL45p」を発表した。発表会に出席した米Hewlett-Packard(以下、HP) Vice President ISS MarketingのPaul Miller氏に、Opteron搭載サーバーの同社での位置付けと今後の戦略について話を伺った。
■ お客様に選択肢を与えることが基本戦略
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米HP Vice President ISS MarketingのPaul Miller氏
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─HPはインテルとAMD、両社のプロセッサを採用しています。それぞれターゲットはどのようになっていますか。
Miller氏
特にターゲットは定めていない。HPは、お客様に選択肢を与えることを基本戦略としており、どちらの製品が優れているとメーカーが決めるのではなく、お客様自身で選んでいただくことが大切だ。
たとえば、4Wayサーバーであれば、HPではXeon MPを4基搭載したDL580と、Opteronを4基搭載したDL585という2製品を用意している。それぞれの特徴をいえば、Xeonは大容量のキャッシュを持っているため、キャッシュを使うアプリケーションを利用するのであれば、Xeonが最適だ。Opteronは、それぞれのプロセッサがメモリに直接つながっており、性能上の優位性がある。お客様の用途に応じて、選択していただければそれでよい。
─とはいえ、企業ユーザーの場合、これまでの実績からインテルの製品を選択することになるのではないでしょうか。
Miller氏
それでかまわない。われわれはなにもすべてのサーバーをOpteronにしたいわけではないからだ。われわれが戦うべき相手は、Dellであり、IBMであり、Sunだからだ。これらのメーカーが出しているサーバーと戦うために、OpteronもXeonも用意している。
─具体的には?
Miller氏
デュアルコアOpteronは、UNIXからのリプレースに最適だ。Linux+Opteronという組み合わせで利用されることが多く、さまざまな業界で採用されている。今後Windows Server 2003 x64 Editionが登場すれば、さらに環境は整うだろう。
■ スケールアップにはItanium 2を、スケールアウトにはIAサーバーを
─HPにはIntelと共同開発したItanium 2搭載サーバーもあります。OpteronとItanium 2の棲み分けはどのようにするのでしょうか。
Miller氏
基本的な考え方として、Itanium 2はメインフレームやRISCサーバーからのリプレース向きといえる。Itanium 2の特長はスケーラビリティにあり、8Way以上のプロセッサを必要とする業務にはItanium 2が必要だ。これに対し、Opteronは4Way以下のサーバー、具体的にはWebやメール、セキュリティなどスケールアウトに向いた業務に最適だ。Opteronなどは、まだまだスケーラビリティの面で限界があるため、データベースやデータマイニングといった業務は、Itanium 2によるスケールアップが向いているといえるだろう。
─Itanium 2が狙うRISCサーバーからのリプレースさえも、64ビット化したIAサーバーに奪われそうに見えるのですが。
Miller氏
単純にそうはいえないだろう。選択の基準は、お客様がどのようなアプリケーションを使うかによるからだ。製品ラインアップが重なっているようにおもわれるだろうが、すき間ができることでお客様に迷惑をかけるよりはいいと考えている。あくまでも選択肢を用意することを基本戦略とする。
─Opteron搭載サーバーの出荷は伸びているのでしょうか。
Miller氏
誤解のないように説明すると、IAサーバーのすべてのラインアップでOpteronを用意しているわけではない。Opteronの性能が活かされる製品でのみ採用している。そのため、サーバー全体でOpteronの割合を聞かれれば、まだ少ないという答えになる。ただし、4WayサーバーのDL580とDL585の割合をみると、DL585はDL580の25%まで伸びている。また、HPC分野においては、2WayサーバーのDL145が非常に伸びており、今後この分野の有力なサーバーとなっているだろう。
また日本の場合、EDA(Electronic Design Automation:半導体設計)の分野で、Opteron搭載サーバーの採用が伸びている。ワールドワイドでみても、ずば抜けた成長といえるくらいだ。Opteronに関しては、今後エントリーUNIXの市場を取っていくのに最適なのではないだろうか。
─では、Opteronにとって最大の欠点はなんでしょうか。
Miller氏
マーケティング力だろう。日本に来てテレビで野球の試合を見ていたら、インテルのCMが流れていた。ブランドの認知度という点では、圧倒的にインテルが上だ。これについてはAMDも理解しており、昨年からブランドイメージを高める戦略、具体的にはISVに対してAMDの認知度を高める活動を始めている。この活動には、AMDだけでなく、HPもMicrosoftとともに参加している。
─最後に目標があれば教えてください。
Miller氏
デュアルコアOpteronは今年最大の話題といえるプロセッサだ。HPは、この最高のパフォーマンスを発揮するプロセッサを搭載したサーバーをいち早く市場に投入することで、他社のサーバー市場を積極的にとりにいく。HPは今後も、業界標準技術を採用し、お客様にとって最適な“選択肢”を与えていく。
■ URL
日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/
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( 福浦 一広 )
2005/04/25 11:17
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