|
米VERITAS会長兼社長兼CEO Gary Bloom氏
|
「成功を収めている企業同士の合併はユーザーの利益につながる」。米VERITAS社長兼CEOのGary Bloom氏は、米国サンフランシスコで4月25日(現地時間)より開催されている同社のカンファレンス「VERITAS Vision 2005」の冒頭に行われた基調講演で、6月末に予定している米Symantecとの合併におけるメリットを強調した。
VERITASとSymantecのほかにもOracleとPeopleSoft、ここ最近でもAdobeとMacromediaなど、ソフトウェア企業の大型合併が相次いでいる。Bloom氏は自社のほか、これらの合併も例に挙げ「合併というと、金持ちの会社が経営に苦しんでいる会社を買収するといったものもあるが、我々は両社とも利益を出している、成功している会社だ」と語った。
|
取引は金、紙幣、電子商取引へ、契約は握手、書面、電子サインへと変遷している
|
それでは、なぜ両社が合併する必要があったのか。Bloom氏は、ビジネスにおける契約や取引の形態が時代とともに変わり、現在では両方ともITという共通基盤が不可欠になりつつあることによる「情報と通貨の統合が進んでいる」との例を挙げ、ビジネスの進化にともない共に新しいリスクが発生してきたことから「インフラ整備とセキュリティ対策を同時に考える」必要が出てきたからだと説明した。
さらにBloom氏は、ユーザーが多くの企業の製品を利用することにともなってテクノロジーやライセンス体系などが複雑化していることから、これらができるだけ簡素化されることを望んでいると指摘し、それには「ベンダーを減らす必要がある。数が減ることはユーザーにとっていいことだと思うし、より信頼性のある会社と取引したいと願うだろう」との見解を示した。合併により「(ソフトウェア)業界で世界4位、インフラ管理のリーダーになる」とする新会社に自信を示す格好だ。
|
SymantecのセキュリティとVERITASの可用性の融合により“Information Integrity”ができあがる
|
これに対するユーザーの反応はどうか。Bloom氏によると「非常に前向きな反応」を示しているという。懸念事項として既存製品の開発は継続されるのか、サポート体制に変化はあるのか、といった指摘があるが、Bloom氏は「“Symantec”という名前はつくかもしれないが、基本的に製品名やブランドに変更はない。99%サービスエンジニアも同じで、同じ電話番号にかけてもらえばつながる」とユーザーへの対応に変化がないことを強調し、「変化があるとすれば、将来的に(製品の)パフォーマンスやセキュリティが良くなっていくことだろう」と語った。これについてはSymantecも同じ考えを示しており、同社COOのJohn Schwarz氏も「VERITASの既存製品を終了させることはない」と別セッションで断言した。
しかし、好意的な反応とは逆に「ウォールストリートからは“コスト削減などへの対策ではないか”などといった指摘」も多いという。これに対しBloom氏は、合併があくまでユーザーの利益を目的としたものであることを繰り返した。同社が掲げるユーティリティコンピューティングモデルや、企業の成長に応じて必要な機能を組み合わせて利用できるビルディングブロックに「セキュリティを組み込むには合併が必要だった」とのことだ。
現在、VERITASの顧客のほぼすべてが企業ユーザー、Symantecは半分が企業ユーザーで残りの半分がコンシューマのため、合併後は75%の顧客が企業ユーザーになる見通しだという。その多くがもともとVERITASの顧客であるため、Bloom氏は「VERITAS(のスタッフ)がエンタープライズビジネスをリードしていくことになるだろう」との見解を示した。その上で「みなさんからいただいた情報が“通貨”となり、我々は成功できた」とVERITASの代表者として感謝の意を述べ、合併後も引き続きのサポートを来場者に呼びかけた。
■ URL
VERITAS Vision 2005
http://www.veritas.com/vision/
( 朝夷 剛士 )
2005/04/26 13:37
|