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富士通、2004年度連結決算は減益に-不採算プロジェクトが大きく影響


同社取締役専務CFOの小倉正道氏
 富士通株式会社は4月27日、2004年度連結決算を発表した。売上高は前年比0.1%減の4兆7627億円、営業利益は前年比3.4%増の1601億円、経常利益は前年比70.1%増の890億円、当期純利益は前年比35.8%減の319億円となった。1月に通期業績見通しを下方修正したものの、売上高・営業利益・経常利益・当期純利益ともに未達という結果となった。

 全体について、同社取締役専務CFOの小倉正道氏は、「売上高は昨年度と比べて若干減少したが、これは事業再編などの影響によるもので、継続事業ベースでは2.8%の増収であった」と、売上についてはほぼ横ばいであったことを強調した。通期業績見通しを下回ったことについては、「ソフトウェア・サービスの不採算プロジェクトの対応に手間取ったことが影響して未達となった」と、不採算プロジェクトの整理が予想以上に手間取ったことがマイナス要因となったと説明した。

 セグメント別にみると、ソフトウェア・サービスの売上高は2兆704億円で前年比1.1%減、営業利益は1130億円で前年比18.5%減という結果となった。そのうち、ソリューション/SIの売上高が9207億円で前年比5.1%減、インフラサービスの売上高が1兆1497億円で前年比2.3%増となった。

 この結果について小倉氏は、「第4四半期完了分プロジェクトの不採算損失が40億円増加し、さらに2005年度以降に完成するプロジェクトに関して追加の損失110億円を計上。また大口の不採算プロジェクトの納期と品質の確保のために開発リソースを配分した結果、全体の効率性が低下し、3月度に集中する売上対象プロジェクトの収益性が予想より120億円下回った」と、不採算プロジェクトが大きく足を引っ張る形となった。不採算プロジェクトの残高として280億円、そのうち5、6件の大口案件が金額の90%を占めているという。「大きなプロジェクトの見極めが難しかった」と小倉氏は説明した。

 プラットフォームの売上高は1兆7051億円で前年比6.0%増、営業利益は550億円で前年比87.7%増と大幅な増益となった。そのうち、サーバー関連の売上高が3844億円と前年比5.1%増、モバイル・IPネットワークの売上高が2146億円と前年比3.6%増、伝送システムの売上高が1853億円と前年比10.7%増、パソコン/携帯電話の売上高が6970億円と前年比2.4%増、HDD関連の売上高が2238億円と前年比19.7%増となった。特に海外での売上が好調で、「UNIXサーバーは欧州・北米で、また伝送システムも欧州・北米の通信事業者向けに好調に伸び、2ケタの増収となった」と説明。HDDもノートPC・サーバー向けともに好調という結果となった。

 電子デバイスの売上高は7338億円で前年比0.1%減、営業利益は325億円で前年比18.2%増となった。そのうち、半導体の売上高が4190億円と前年比3.7%増、その他の売上高が3148億円と前年比4.7%減となった。同セグメントでは、日立へのプラズマディスプレイパネル事業の譲渡など再編の影響があったことから、継続事業ベースでは前年比4.6%増収であったと補足した。


2005年度は増収増益を目指す

 2005年度の業績見通しは、売上高を4兆8500億円(前年比1.8%増)、営業利益を1750億円(前年比9.2%増)、経常利益を1000億円(前年比12.3%増)、当期純利益を500億円(前年比56.7%増)と、増収増益を目指すとした。

 また、セグメント区分を「テクノロジソリューション」「ユビキタスプロダクトソリューション」「デバイスソリューション」の3つに再編すると発表した。この再編について小倉氏は、「これまでのセグメントは製品の形態によって分けていたが、現実とあわなくなっていた。今回、事業の管理上の区分や顧客から見た製品区分にあわせて見直しをおこなった」と説明している。

 テクノロジソリューションは、各種サーバー・周辺装置・ソフトウェアなどのシステムプロダクトと光伝送システム・モバイルシステム・IPシステムなどのネットワークプロダクトからなる「システムプロダクト」、システム構築・コンサルティングなどのソリューション/SIとアウトソーシング・各種ネットワークサービス・保守監視サービスなどのインフラサービスなどからなる「サービス」の2つから構成され、同社の中心ドメインに位置づけられている。同セグメントの2004年度実績は、売上高が2兆9350億円、営業利益が1430億円となっている。2005年度には、売上高を3兆円、営業利益を1800億円を予想している。

 ユビキタスプロダクトソリューションは、PCや携帯電話、HDDなど、個人のニーズにより密接した製品を取り扱う分野。同セグメントの2004年度実績は、売上高が1兆310億円、営業利益が300億円となっている。2005年度には、売上高を1兆500億円、営業利益を250億円を予想している。

 デバイスソリューションは、ロジックLSIを中心とした分野。同セグメントの2004年度実績は、売上高が7950億円、営業利益が330億円となっている。2005年度には、売上高を7500億円、営業利益を200億円を予想している。前年度と比べてデバイスソリューションの2005年度の数字が低いのは、「LCD事業の譲渡によるもので、ロジックLSIそのものが不調というわけではない」とした。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  2004年度(平成16年度) 連結および単独決算概要
  http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2004/


( 福浦 一広 )
2005/04/27 20:13

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