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米Symantec会長兼CEO John W.Thompson氏
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米国サンフランシスコで開催されている米VERITAS Software主催のカンファレンス「VERITAS Vision 2005」の第3日目となる4月27日(現地時間)には、米Symantec会長兼CEOのJohn W. Thompson氏が基調講演に登場した。VERITASの合併先の責任者の講演に多くの注目が集まった。
「ITの将来を見据えての決断だった」。Thompson氏は合併の理由をこう語った。企業がビジネスを継続していく上で、ウイルスをはじめとする脅威への対応と、システムの可用性・信頼性の両方を備えることが今後不可欠となり、そうしたインフラを統合して提供できる企業となるためにVERITASが必要だったという。
セキュリティと可用性が不可欠であることを実証した例として、Thompson氏は2003年に大流行したSlammerワームと、その後に発生したニューヨーク大停電を挙げた。「Slammerは8.5秒で2倍に増殖し、10分で世界中のリスク管理ができていないシステムを破壊した。ビジネスがすべて止まったところや復旧に10億ドルを費やし、生産性や信頼性を失った企業もあった。いい教訓を残した」(Thompson氏)。そしてその数カ月後に発生した大停電で再びビジネスが止まる企業が続出。これらからセキュリティと可用性が切っても切り離せない関係であり、統合が必要であると実感したという。Thompson氏は講演中「(合併は)セキュリティとアベイラビリティ(可用性)の統合である」と何度も繰り返した。
この2つを統合すると何が変わるのか。Thompson氏は社外にある脅威の感知と社内システムの対応をつなげることで、変化に対して自動的な対応が可能となり、従来のような対応への苦心なくビジネスの継続性が確保できるとした。「今、ユーザーが求めているのは、こうした変革であり、Symantecはこれに向けた勇気ある一歩を踏み出そうとしている」、Thompson氏は自動車業界のフォード社を例にとり、セキュリティを変革するリーダー企業になると宣言した。
Symantecはかつて、ユーザーの多くをコンシューマが占めていたが、ここ4、5年エンタープライズビジネスに力を入れており、現在はエンタープライズとコンシューマをほぼ半数ずつかかえているという。合併によりこの比率がだいたい3対1になるが、「セキュリティにおいてはコンシューマがアーリーアダプターであり、革新はコンシューマから始まる」と述べ、コンシューマビジネスにも引き続き力を注ぐ姿勢を見せた。
Thompson氏はSymantec入社前、IBMでストレージ担当責任者を務めていた経験もあることから「再びストレージビジネスに戻ってきた、帰省したような気分だ」と述べた。
■ URL
VERITAS Vision 2005
http://www.veritas.com/vision/
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( 朝夷 剛士 )
2005/04/28 12:27
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