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「SymantecとVERITASは買収ではなく合併」、VERITAS CEOが強調


 Symantecとの合併を6月末に控えたVERITAS Softwareは、4月25日から27日まで米国サンフランシスコで開催された年次カンファレンス「VERITAS Vision 2005」でも、今後の動向についての発表に注目が集まった。VERITAS会長兼社長兼CEOのGary Bloom氏、Symantec会長兼CEOのJohn W.Thompson氏は、ともに基調講演で、この合併が有意義なものであることを強調するとともに、既存製品・サポートの継続を約束した。VERITASとしては合併後の新会社にどのような「Vision」を描いているのか、Bloom氏が日本人記者団の質問に答えた。


VERITAS会長兼社長兼CEO Gary Bloom氏
 今回の合併は、SymantecがVERITASを約135億ドルで買収、合併後の社名は「Symantec Corporation」、新会社における役員の比率は6:4になるとされており、世間では「SymantecがVERITASを取り込む」という認識が強い。しかしBloom氏は、法的な理由から買収という形となっているが、あくまで合併だと強調する。そして「SymantecがVERITASを買うとか、VERITASがSymantecを買うといったことではなく、お互いのユーザーが今かかえる問題を解決していくための合併である」とし、また「OracleとPeopleSoftのような敵対的ではなく、両社の製品からさらにいいものを産む協力的な合併である」と述べた。

 しかし、合併後は年間売上高が約50億ドルになる予測される“大型合併”であり、これをまとめるのは、これまでの例から見ても非常に難航すると、市場やお互いのライバル会社が指摘する声もある。また「統合する」というが、Symantecが扱うのは主にインターネットセキュリティ、VERITASは企業内ネットワークの中のストレージであり、分野が異なり、どう統合するのか不透明な印象もある。これに対しBloom氏は、開発チームのほか、セールス、マーケティングといった分野まで「両社は似たところも多く、協力関係を築いていける」と主張。また、社外・社内どちらであれ対象とするのがデータであることは共通であり、ユーザーはセキュアで可用性を高めることを望んでいるとし、疑問視する声に「ライバルらが恐れているだけだろう」と一蹴(いっしゅう)した。

 それでは合併後、どのような展開を考えているのだろうか。Bloom氏、Thompson氏とも合併後の収益は企業ユーザーから75%、個人ユーザーから25%という比率になるだろうと基調講演で述べている。Bloom氏は「まずできることというと、例えばExchange環境を対象とした製品としてアンチウイルス、アンチスパム、バックアップ、コンプライアンス、ストレージ管理といったものをバンドルするといったものになるだろう」と語った。将来的には、両社の技術を用いた新しい製品を出していくだろうが、それには時間をかけて取り組んでいくとのことだ。また、マーケティングにおいても決定はしてないものの、VERITAS Visionのようなカンファレンスなどで企業ユーザーと接する場を提供していく考えを示した。「それが“Symantec Vision”という名になるといいね(笑)」(Bloom氏)。

 また、コンシューマユーザーに対しても既存のSymantec製品の提供を続けるとともに、Symantecの販売網を利用してVERITASの技術を用いたコンシューマ製品を提供することも検討しているという。

 合併後、顧客の多くが企業ユーザーとなるのに、社名をSymantecとしたのは「企業ユーザーは機能で導入するものを選ぶのに対し、コンシューマはブランドで選ぶ傾向が強いから。小売店では黄色い箱がたくさん並んでおり、わざわざそれを変える必要はない」とのこと。どちらが買収したとか、感情的なものは含まず、あくまで「ビジネス的な判断から決まったことである」とBloom氏は語った。



URL
  VERITAS Vision 2005
  http://www.veritas.com/vision/

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( 朝夷 剛士 )
2005/04/28 18:14

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