Enterprise Watch
最新ニュース

日立、2004年度は売上高9兆円を突破、3年連続の増収増益を達成


2004年度通期決算の実績

執行役専務 財務部門長の三好崇司氏
 株式会社日立製作所は4月28日、2004年度通期の連結決算を発表した。それによると、売上高は対前年比5%増の9兆270億円、営業利益は同51%増の2790億円と、3年連続で増収増益を達成した。また税引前利益は対前年比12%増の2645億円、当期純利益は同224%増の514億円となった。

 売上高に関しては、ATM事業合弁、トキコ合併、NEOMAX買収など、事業再編の影響もあり、9兆円を突破。営業利益はデジタル家電を中心に価格低下の影響を受けたほか、日立ソフトや電力・電気部門における不採算案件の影響といったマイナス要因があったものの、グローバル事業強化における売上増、製品構造転換・原価低減などのプラス要因でばん回し、前年を942億円上回った。

 部門別では、情報通信システムが売上高で対前年比2%減の2兆2683億円、営業利益が同3%減の677億円で減収減益。このうちソフト/サービスでは、アウトソーシング事業などが堅調に推移したサービス部門は売上高が対前年比4%増の8608億円と好調だったものの、「SI分野における不採算案件の影響」(執行役専務 財務部門長の三好崇司氏)からソフト部門は減少し、同4%減の1547億円となった。両部門の合計は、売上高が同3%増の1兆155億円、営業利益が14%減の486億円。

 またハードは、売上高が対前年比5%減の1兆2528億円、営業利益が同40%増の191億円。細かく売上高の内訳を見ると、ストレージは同4%減の6288億円。HDD事業は、赤字幅は縮小されたというが、営業利益は依然として56億円の赤字で、売上高も対前年比6%減の4536億円と減少している。サーバー・デスクトップ用の新製品の立ち上げに苦労したほか、2.5インチHDDの価格下落が大きく影響したという。SAN/NAS事業は、売上高が対前年比2%増の2680億円となった。

 このほか、サーバーは対前年比29%減の947億円、PCは同23%減の1161億円。両部門の苦戦にも、価格下落の影響が大きいという。通信ネットワークは好調で、同7%増の1377億円。

 電子デバイスは、売上高が対前年比1%増の1兆3201億円、営業利益は同22%増の370億円。「ディスプレイが液晶の市況悪化の影響で大幅に減少したものの、日立ハイテクノロジーズの半導体、液晶関連製造装置が好調」(三好専務)で、部門全体では増収増益となった。

 デジタルメディア・民生機器は、売上高が対前年比4%増の1兆2803億円、営業利益は同25%増の86億円。プラズマテレビや液晶プロジェクタ、光ストレージが伸長し、白物家電は価格下落の影響を受けたものの、前年並みの水準を確保したことから、増収増益を達成した。

 電力・産業システムは、売上高が対前年比9%増の2兆5153億円、営業利益が同117%増の736億円。高機能材料が、売上高は対前年比16%増の1兆5043億円、営業利益が同87%増の875億円。物流およびサービスが、売上高で対前年比1%減の1兆2482億円、営業利益が98億円。金融サービスは、売上高が対前年比4%減の5296億円、営業利益が同39%増の310億円となった。


2005年度の業績予想
 なお、2005年度の業績予想は、売上高が、対前年比2%増の9兆2500億円、営業利益は同8%増の3000億円、税引前利益は同6%増の2800億円、当期純利益は同7%増の550億円をそれぞれ見込む。

 同社では「米国では景気が緩やかに減速し、欧州経済もその影響で回復のペースが鈍化する懸念があるものの、アジア経済は中国の国内需要に支えられて比較的堅調に推移すると思われる。また国内は上期に減速感がさらに強まるものの、後半には緩やかな回復に向かうと期待する」と分析しており、「将来の発展に向けた事業構造改革の推進によって、連結ベースでの競争力向上、収益力の強化に努める」とのこと。

 セグメント別では、情報通信システムの売上高は対前年比5%増の2兆3900億円を目指す。営業利益は、上流コンサルの増強、プロジェクト進行状況の可視化などによるグループプロジェクトマネジメント強化、ストレージ、ネットワーク、ブレードサーバー、ミドルウェアをはじめとした製品力強化とグローバル市場への展開などによって、より収益を向上させ、対前年比21%増の820億円と大幅増益を見込む。

 ただしHDD事業単体では通期で300億円の赤字という見通しで、開発力強化、新SCMシステムの導入(第3四半期)などによるオペレーション効率の向上、中国新工場立ち上げ(第4四半期)などのコスト競争力強化、といった施策によって、第4四半期以降の黒字化を目標とする。

 このほかの2005年度売上高見通しは、電子デバイスが1兆2600億円、電力・産業システムが2兆6100億円、デジタルメディア・民生機器が1兆3800億円、高機能材料が1兆5100億円、物流およびサービスが1兆2150億円、金融サービスが5050億円など。



URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2005/04/0428.html


( 石井 一志 )
2005/04/28 21:15

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.