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SRA、OSS製品ビジネスの世界展開を見据え、米国に新会社設立


SRAの代表取締役社長、鹿島亨氏

同社の考える「スタック」の例。これは政府機関向けのサンプル
 株式会社SRAは5月10日、オープンソースソフトウェア(OSS)関連のビジネス本拠地を米国西海岸に移すと発表した。同社ではすでにSRA AMERICA,INCを米国子会社として運営しているが、今回はこれとは別の新会社を設立し、事業を移管する。設立は6月の予定。

 SRAは、オープンソースRDBMS「PostgreSQL」をベースにした商用版「PowerGres」を提供するなど、オープンソース関連製品の販売を手がけてきた企業。これまで、こうしたOSS関連製品の販売は日本国内が中心だったが、「製品ビジネスを考えたとき、日本だけで本当にいいのか。日本だけで追い切れなかったニーズを世界で追うべき」(SRAの代表取締役社長、鹿島亨氏)と考え、米国に本拠を設けることにしたという。

 今後は、OSSを用いた製品の販売と、OSS製品をベースとした導入コンサルティング、マイグレーション、サポートといった各種サービス提供、の二本柱で事業を行う。製品販売に関しては、単に1つのソフトを販売するのではなく、各環境に応じて、OSからミドルウェア、場合によってはアプリケーションまでを組み合わせ、最適な「スタック」として用意できるようにしたいとのこと。たとえば、デスクトップ、サーバーの両環境に適したものや、金融、通信などの業種に応じたものなどを計画している。

 新会社の組織としては、米国のサンフランシスコに本社を置くほか、米ニューヨーク、オランダのアムステルダム、ポーランドのワルシャワ、インドのバンガロアなどに拠点を設けて、広く世界に展開できるようにする。また「デスクトップ環境に関しては、ブラジル、ロシア、インド、中国といった発展中の地域で、よりニーズが高いのでは」(鹿島社長)と述べるなど、サーバーや業務関連分野だけにこだわらず、業務を拡大する姿勢を示した。加えて、OSSは主に公的機関からの引き合いが強いことから、政府/教育機関などもターゲットとしている。

 一方日本では、現在SRA内にあるOSSプロダクトビジネス部門を新会社の日本支社に位置付けて、営業を継続。PowerGresの販売やPostgreSQLの認定試験など、既存の業務はそのまま行うという。

 なお新会社は、SRAの直接の子会社となるか、SRA AMERICAを経由するかは未定としたが、SRA AMERICAもSRAの100%子会社のため、SRAグループ以外の資本が投入される予定はない。また鹿島社長は新会社に事業を移すことにした経緯について「SRA AMERICAは設立以来SI事業が主。今回新会社に引き継ぐ事業は製品販売が主となるため、SRA AMERICAに引き継がせるには違和感があった」と説明した。もっとも、「新会社を設立したからといって、既存各社との関係がなくなることはない。SRA AMERICAをはじめ、SRAグループ各社との連携は緊密に行う」(同社長)とのことで、SRAのリソースを集約して事業を行っていくことに変わりはない、という点を強調していた。



URL
  株式会社SRA
  http://www.sra.co.jp/

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  ・ SRA、PostgreSQL商用版を4月より米国で発売(2004/03/23)


( 石井 一志 )
2005/05/10 14:04

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