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シンクライアントを展開する米Wyse、アジア事業強化の方針を表明


Wyseの社長兼CEO、ジョン・キシュ氏

Wyseが提供しているシンクライアント端末の1つ。筐体、性能、OSなどが異なるさまざまな製品がラインアップされているという
 米Wyse Technology Inc.(以下、Wyse)は5月18日、アジアにおける事業強化の一環として、同社が出資する日本法人の設立を計画していると発表した。現在、国内での責任者を決定する最終段階に入っており、数カ月以内に設立できる見通しという。

 Wyseは、シンクライアント端末の専業メーカー。シンクライアントは、サーバーでアプリケーションやOSを実行し、クライアント側とは画面イメージの差異をやりとりするサーバーベースコンピューティング(SBC、Wyseではネットワークセントリックコンピューティングと呼称)で用いられるが、Wyseはマイクロソフトや、MetaFrameを提供するシトリックス・システムズと緊密な関係を築いており、ワールドワイドのシンクライアント市場において高いシェアを持っている。

 今回同社では、さらなるアジア地域での営業の強化を図るため、中国の北京にあるアジア・パシフィック地域本社に、同地域担当社長のポストを設置。アンドリュー・フー氏が同ポストに就任した。また2005年末までに、北京にあるソフトウェア開発センターのエンジニアを、現状の30人から20名程度増員するほか、12~18カ月の間には、100名程度まで増やす予定という。また日本でも株式会社を設立し、販売活動を強化する。

 Wyseの社長兼CEO、ジョン・キシュ氏は「半年前にCEOに就任した時、アジア太平洋地域には、台湾とオーストラリアの2つの拠点しかなかったが、今では北京に統括本部や研究所を設けたほか、インドにも研究施設を設けるなど、かなりの投資を行っている。両研究施設をあわせると、当社のエンジニアのうち80%はアジアにいることになる」と述べるなど、アジアを重視しているということを再三強調する。

 同CEOは、アジア、特に日韓でブロードバンドの整備が進んでおり、SBC活用に有利な条件が整っている点、日本での個人情報保護法対策に関連したシンクライアントへの関心の高まり、などを追い風として、Wyse全体の売り上げのうち現在12%ほどのアジアからの売り上げを、今後は2007年までに20%、最終的には30%程度まで上昇させたい考えを示し、子会社の設立やサポート体制の充実などによって、「100%のサポートをその地域のユーザーに提供したい」(キシュCEO)とした。

 またフー氏は、2004年に3万7000台程度だった国内のシンクライアント端末市場が、2007年までに9万5000台程度の規模になるという調査会社のレポートを引用した上で、「シンクライアントは確固たるマーケットでの地位を獲得した。個人情報保護法などにより、これ以上伸びる可能性もある」と述べたほか、「数種類だけのアプリケーションを用いて、入力などのルーチンワークを行うユーザーには、シンクライアント端末(を用いたSBCソリューション)が適している。これからのCIOは、仕事にあうようなデバイスを選択して使っていくべきだろう」とアピールしていた。



URL
  米Wyse Technology Inc.(日本語)
  http://www.wyse.jp/

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  ・ 最終回・なぜシンクライアントに注目が集まったのか(2005/05/18)


( 石井 一志 )
2005/05/18 17:26

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