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米BorlandインターシモーネVP、「Windowsプラットフォームでの開発はDelphiがベストチョイス」


 「David I」の愛称で親しまれる、米Borland Software Corporation(以下、ボーランド) デベロッパー・リレーション担当副社長のデビッド・インターシモーネ氏は、同時にチーフ・エバンジェリストとしても活躍している。定期的に世界各地のユーザーやメディアの方々と積極的に交流することが知られているが、今月来日したインターシモーネ氏に、個別にお話を伺うことができた。


なぜボーランドなのか?

デベロッパー・リレーション担当副社長兼チーフ・エバンジリスト、デビッド・インターシモーネ氏
 ボーランドの製品の特長としてインターシモーネ氏は、「ボーランド製品のユニークな点は、個人のデベロッパーから、小規模なチーム開発、そして大規模なチーム開発まで幅広く使えることにある」と主張し、学生から大企業の開発担当者にいたるまで非常に幅広い層のユーザーがいることをアピールした。そのために「ユーザーの声を聞くことは非常に重要である」と語る。また同氏に日本のユーザーについて聞いたところ、「とても要求が厳しく、新しい技術の導入にも積極的である。そのような日本のユーザーとの交流を楽しみにしている」と述べた。

 さらにインターシモーネ氏は「我々には22年間にわたるソフトウェア開発のプロセスに関する経験、主要なテクノロジに関する経験、各種プラットフォームに関わる経験がある」という点を強調する。その上で「開発者が効率よくソフトウェア開発が行えるようにサポートすることがボーランドの目標であり、特定のプラットフォームや言語にとらわれることなくユーザーのニーズに応えることができる」と語った。

 そして、ボーランドの新しいビジョンとして発表された「Software Delivery Optimization(SDO)」に関して、「長年ソフトウェア開発の生産性向上に焦点をあて、ソフトウェア開発に関わるお客様の要求を反映してきた結果がSDOに結びついた」と説明。ボーランドはこれまでにもソフトウェア開発における業務全体をライフサイクルとして管理し、それぞれの業務をサポートするALM(Application Lifecycle Management)ツールを提供してきた。これらのツールに加え、プロセスの改善やベストプラクティスの適用などのサポートを提供することをインターシモーネ氏は「必然的な進化である」とし、「ソフトウェアのビジネス価値を最大限に高めることが重要」と述べた。


.NET 2.0やAvalon/Indigoもサポート予定のDelphi、数年後にはLonghornも

 また昨年リリースされた「Delphi 2005」に関してインターシモーネ氏は、「Windowsプラットフォームでの開発はDelphiがベストチョイスである」と主張する。その理由としてDelphiはWin32と.NETの両方を同じ環境でサポートしていること、C#とJBuilderを統合していることなどを挙げている。「単一の製品で既存のWin32環境と.NETをサポートすることで、これまで開発してきた資産を.NETに容易に移行することができる。また、Delphiは広さと深さを備えた言語でありながら、非常にとっつきやすい言語である」と語るインターシモーネ氏は、「これまでの投資を無駄にしないことは、ユーザーにとって大きなメリットである」とした。

 さらにインターシモーネ氏は、「Delphiは非常にとっつきやすく学習しやすい言語であること」や「Delphi自身がDelphiで作成されていること」などの理由から、「Delphiが非常に優れた言語である」とも語った。ほかにもDelphiのメリットとしてインターシモーネ氏は、「モデル駆動型開発(MDA)の機能「Enterprise Core Objects II(ECO II)」が搭載されていること」、「Borland Dataprovider fot ADO .NETにより、ひとつのアプリケーションからマルチベンダーのデータベースへアクセスできる機能をソースコードを記述せずに実装できること」、「CORBA技術によって.NETとJavaを統合する「Borland Janeva」が統合されていること」などを挙げている。

 Delphi 2005には、すでにいくつかのアップデートがリリースされており、ボーランドのサイトからダウンロードできる。さらにインターシモーネ氏は「来月にはCaliberRMへの統合が可能になるアップデートがリリースされ、また今年中にはC++のサポートを開始する」と語る。

 ここ数年のDelphiのロードマップとしてインターシモーネ氏は、「近い予定としては.NET 2.0のサポートやAvalon/Indigoのサポートなどがある。さらに、ここ数年の対応としてコンパクト フレームワーク(.NET Compact Framework)やLonghornへのサポートをMicrosoftと協力して行っていく」と語った。特にコンパクト フレームワークに関しては、Delphiのカスタマーに対してプレビュー版のコンパイラを、今月、もしくは来月にサイトからダウンロードできるようにする予定であるという。このプレビュー版は「.NET Compact Framework 1.0」に対応しているため、「PocketPC2003」、および「SmartPhone2003」に対応することになると、同氏は説明した。

 なお、先日マイクロソフトはWindows XPの64ビット版である「Windows XP Professional x64 Edition」をリリースしたが、残念なことにDelphi 2005は64ビットには対応していない。この件に関してインターシモーネ氏は「64ビットへの対応や、マルチコアなどの対応はしなければならない」としながらも、「現在はより重要な開発に忙しく、すぐに対応することは難しい」との見通しを示した。


JBuilderのEclipseへの統合

 現在ボーランドは、オープンソースのIDE(統合開発環境)プロジェクト「Eclipse Foundation」に、戦略的開発者(Strategic Developer)として参加している。インターシモーネ氏は、Jbuilderは、Eclipseへ統合していくことになるとし、「エディターなどEclipseができる基本的なIDEの機能はEclipseに統合し、よりむずかしい分野に開発の焦点をあてて行くことになるだろう」と語った。これによって、JbuilderからEclipseに対応する多くのツールなどが利用できるようになるほか、ボーランドの技術もEclipseに反映することになる。しかし、同時にインターシモーネ氏は「EclipseとJBuilderの統合はすすむが、JBuilderそのものがオープンソース化する予定は今のところない」と明言した。


デベロッパーなくして開発ツールは存在しない

 「ボーランドはあくまでもソフトウェアの開発生産性を向上するためのサポートをする企業」と繰り返し主張するインターシモーネ氏は、「自動的にコードが生成されても開発者の仕事がなくなるわけではない。常にソフトウェアは開発者によって作られる。デベロッパーなくして開発ツールは存在しない」と語る。そのため、将来に対して不安を感じる開発者や、これから開発者になろうとしている学生に対しては、「イノベーションを意識してください。世界中で必要とされるソフトウェアがすべて作られて、もう必要なくなるなどと言うことはありません。常に新しい、創造的なことを考えてください」と語った。

 また、これからソフトウェア開発を学ぶ学生や、ソフトウェア開発に従事しようと考えている人たちにとって、どの言語を習得するべきかという質問をした。「基本的なソフトウェア開発においては、どの言語を学習しても無駄になることはない」としながらも、「学習のしやすさでは、C#やJavaは同程度である。しかしDelphiはこれらの言語よりもより学習しやすい」と自信をのぞかせていた。



URL
  米Borland Software Corporation(英語)
  http://www.borland.com/
  Delphi 2005 Update#3(英語)
  http://cc.borland.com/beta/Item.aspx?id=23191

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  ・ ボーランド、Win32と.NET Framework、C#をサポートするDelphi 2005(2004/11/04)


( 北原 静香 )
2005/05/19 15:47

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