日本ヒューレット・パッカード株式会社は5月23日、同社市ヶ谷事業所(東京都)内に、企業ユーザー向けの同社製品体験施設「アダプティブ・エンタープライズ・エクスペリエンス・センター」を開設、6月6日よりオープンすると発表した。
同センターは、同社が提唱する「Adaptive Enterprise(以下、AE)」が体験できる施設として、これの実現に向けた同社製品群を配置し、ユーザーのIT環境における課題の抽出と、解決に向けたソリューションを実演するという施設。経営者やITマネージャーに対して、より具体的な提案を行うことで、販売やコンサルティングの強化に結びつける狙いだ。
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テクニカルセールスサポート統括本部 統括本部長 山口浩直氏
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ここで主に実演されるのは、企業内のサーバーやストレージ、ネットワークといったリソースを、仮想化技術などによって集約した「プール」として一元管理し、必要に応じて各業務に再配置するインフラストラクチャ・サービスが基盤となる。事前のコンサルティングなどによってユーザーの業務環境をヒアリングし、同社が最適とするIT環境のイメージを同センター内で準備することで「プレゼンテーションだけでなく、お客様に実感してもらうことができる」(同社テクニカルセールスサポート統括本部 統括本部長 山口浩直氏)という。
センターは、同社やパートナーによる営業、および同社の有料コンサルティングなどの一環として利用されるため「センターだけでビジネスを行う予定はなく、基本的に無償で利用できる」(山口氏)とのこと。システム環境として、同社製のサーバー製品群やストレージ、シン・クライアント端末、シスコ製スイッチ、および同社のシステム管理ソフト「OpenView」が用意されるほか、必要に応じ順次拡張していく予定としている。
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負荷レベルに応じて変化するサーバー構成などが実演される
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センターの構成概要
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日本企業におけるIT利用の成熟度調査結果
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山口氏によると、同社は「ビジネスとITが同期して(環境の)変化を活用できる企業、組織体」を実現するというAE戦略を2003年より展開しているが、2004年まではコンセプトや実現の仕方など「AEとは何か(What is AE)」を中心に展開してきたのに対し、2005年は「いかにしてAEに移ってもらうか(How to build AE)」に戦略を切り替える方針だという。また、これに向けシステムを一気に刷新させるのではなく、段階的な移行を可能とする「ビルディングブロック」の整備を進めていくとしている。
経済産業省が行った「我国企業のIT化に対応する企業経営の分析」調査によると、「ITが不良債権化している(Stage 1)」「局所的に最適化されている(Stage 2)」企業が全体の80%以上を占めており、その多くが「組織全体の最適化(Stage 3)」に向けた変革の必要性を認識しているという。この結果を示した山口氏は「このセンターが日本の企業をStage 3やStage 4(共同体最適化企業群)に移る後押しになればいい」と、意気込みを述べた。
■ URL
日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/
プレスリリース
http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2005/fy05-100.html
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( 朝夷 剛士 )
2005/05/23 15:24
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