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国内IT投資、年内は停滞し来年以降に延びるとの予測-IDC調査


2003年~2009年の国内IT投資規模と成長率
 IDC Japan株式会社は5月25日、国内産業分野別IT投資動向と2005年~2009年の予測を発表した。

 これによると、2004年下半期において、企業業績の回復を受けてIT投資が堅調な伸びを示し、2004年のIT投資成長率は、対前年比2.3%増の11兆2430億円となった。また、2005年以降もIT投資のプラス成長率は継続し、2004年~2009年の年間平均成長率は2.4%で推移、2009年のIT投資規模は12兆6426億円に達する見込みだという。

 しかし、2005年の対前年比成長率は1.0%と低い値を予測している。この要因として同社は、景気回復がいわゆる踊り場状態に入り、設備投資意欲が停滞するとみられるからだという。これは、主に原材料価格、石油燃料の高騰、海外需要の先行き不安によって、国内製造業が調整局面に入る可能性が高いことによるものとのこと。しかし、この停滞局面も2005年中に改善され、2006年のIT投資成長率は2.1%、2007年以降は3%前後に回復して推移すると同社では予測している。

 2004年の国内IT投資を製品分野別に見ると、ハードウェア市場は4兆7207億円で全体の42.0%(対前年比成長率 1.5%)、パッケージソフトウェア市場が1兆9444億円で全体の17.3%(同成長率 3.0%)、ITサービス市場が4兆5780億円で全体の40.7%(同成長率 2.9%)となった。このうち、ハードウェア市場は2004年はプラス成長を記録していたが、価格低下傾向とオープンシステムへの移行は継続して進行しているため、2005年、2006年の成長率はマイナスに転じ、2007年以降も1%前後の低い成長率が予測されている。逆にITサービス市場は今後のアウトソーシング需要の伸びに支えられ、成長率を高めていくという。


2004年の産業分野別国内IT投資シェア
 産業分野別のIT投資では、ITの適用範囲の拡大により、事業とITの一体化がますます進展するため、すべての産業分野でIT投資は増加をつづけると予測されている。各業界において業種にとらわれない多様な企業が入り乱れる競争環境となり、市場変化に俊敏に対応できるITインフラの整備が必須条件となり、大規模なITインフラ投資が行われていくとのこと。

 2004年のIT投資規模では、消費者市場規模を除くと、組立製造、通信・メディア、銀行、官公庁、流通・小売の順であった。また、組立製造とプロセス製造を合わせた製造業は、全体のほぼ20%を占めていた。しかし、依然として海外生産拠点の展開が盛んになっているため、IT投資全体における製造業の割合は、2005年以降若干の低下傾向にあるという。また、金融や通信・メディアといった産業分野では、情報システムが設備の大半を占めるため、IT投資規模が大きいという。ただし、銀行業界では業界再編に伴う大規模な投資が一段落したため、今後のIT投資は抑制される傾向にあるとしている。官公庁ではメインフレームを中心とする大型システムの保有率が高いことと、今後は組織の民営化や民間への業務委託が進展するため、民間企業ほどのIT投資規模の拡大は見こめないと予測されている。



URL
  IDC Japan株式会社
  http://www.idcjapan.co.jp/


( 朝夷 剛士 )
2005/05/25 20:06

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