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「10GBASE-Tや100Gigabit Ethernetでも低価格戦略を維持」、米Foundry


 レイヤ2/3およびレイヤ4-7スイッチ分野では業界トップシェアを誇る米Foundry Networks(以下、Foundry)が、Interop Tokyo 2005にあわせて新製品を発表するとともに、今後の100Gigabit Ethernetを見据えたソリューション戦略の近況を明らかにした。同社のレイヤ2/3スイッチング&ルーティングソリューションビジネスユニット副社長ケン・チェング氏は、「10Gigabit Ethernetでは今後、銅線によるソリューションが本格化するだろう。Foundryはこれに向けた製品開発を進めるとともに、40Gbpsや100Gbpsに向けても、現在の低価格戦略を踏襲する」と語った。


Foundryの戦略を支える2つのキーポイント

レイヤ2/3スイッチング&ルーティングソリューションビジネスユニット副社長、ケン・チェング氏
 Foundryの戦略は、伝統的にハイパフォーマンスネットワークを低価格で提供することが主眼だという。

 それは言い換えると、競合に対する絶対的な価格優位性だという。たとえばスイッチ製品における、Gigabit Ethernetポートあたりの価格推移をみてみると、Foundryはまず、2001年に7万ドルで製品を投入した。この時点では、競合となる製品は特になかったという。しかし、2003年には7万ドルの競合製品が登場した。そこでFoundryはすぐさま5万ドルにプライスダウンさせる。そして2003年半ばには2万5000ドルに、さらに2004年初頭には1万ドル、そして10月には1ポートあたり2500ドルを達成した。

 チェング副社長は「このように競合からの製品投入あるいはプライスダウンなど追随の動きがあっても、Foundryではいつでもこれらを受けてたてる体勢にある」と言い切る。まるで、かつての米IBMにみる競合に対するメインフレーム戦略のようだ。「こうしてFoundryがこの4年間、業界に示してきたことは、これからの40Gigabit Ethernet、あるいは100Gigabit Ethernetの世界になっても十分やっていけるはず」というのである。

 またFoundryがみせる絶対的な自信は、もう1つのキーポイントに裏付けられているという。「競合たちのように何でも取り組むのではなく、もっとも重要な成長市場にフォーカスして取り組むことが肝要」とチェング副社長は語る。たとえば、かつて広域網では華的な存在であった1.5MbpsT1サービスの時代が終焉をとげつつあったとき、Foundryでは、すでに10Gigabit Ethernetに目をつけていたという。

 それでもユーザーの中には、やはりT1がほしいという声があった。したがって「まだビジネスの余地があると思えるから、ここに目をつむるのはかなり厳しい決断になる」。しかし同副社長は「反面、これが腕のみせどころでもあった」と振り返る。「T1後は、T3でもOC-3でもOC-12でもない、めざすは10Gigabit Ethernet。Foundryは、こうした厳しい決断ができる、知識をもったリーダーたちに恵まれている」とチェング副社長は自負する。


10Gigabit Ethernetの世界に台頭する“銅線”

将来の100Gigabit Ethernetにも対応可能なアーキテクチャを持つスイッチ「BigIron RX-16」
 一方、10Gigabit Ethernetをにらんでの大きな流れには、カテゴリ6/7の銅線ケーブルの利用があげられるという。これを用いれば、光ファイバケーブルよりも低価格で10Gigabit Ethernetを実現できるようになる。ただ3年前までFoundryでは、このいわば10Gigabit over Copperの標準化は困難ではないか、と考えていた。しかし「いまは銅線による10Gigabit Ethernetの標準化が進み、2006年にも、ツイストペアケーブルを用いる10GBASE-Tが、IEEE 802.3anとして批准されるであろう」とチェング副社長はいう。

 銅線ケーブルよる10Gigabit Ethernetは、取り回しの容易さなどから、おそらく世界中ほとんどのマスマーケット分野で浸透していくが、セキュリティが必要とされる政府関係などの分野では、光ファイバケーブルが引き続き使用されることになろう。また最大伝送距離をみると、いまのところ銅線は100m、光ファイバケーブルは80km(シングルモード使用時)になっている。このように、距離によっても使い分けが行われると見られている。

 現在のところ、銅線による10Gigabit Ethernetには、同軸ケーブルを用いた10GBASE-CX4(IEEE 802.3ak)も製品化されているが、この規格では伝送距離が通常15m、最大25m(50mまで可能ともいわれる)程度。結局のところ、銅線および光ファイバケーブルは共存形態となろうが、転送距離の長さなどから同社では10GBASE-Tが本命と見ており、正式な標準化のころ合いを見計らって、対応策を検討するとしている。

 なお、このたびFoundryが発表した新製品では、通常の半分の大きさのハーフスロットに対応したモジュールデザインを採用しており、ハーフスロットあたり10Gigabit Ethernet×4ポート、フルスロットでは計80Gbpsのキャパシティを持つ。価格も、競合ベンダの1/20という低価格を実現したという。

 2000年あたりをふりかえってみると、多くのユーザーがビジネスモデルをあるいは収益性を考えないでネットワークを構築せざるを得なかった。それも、すべからくハイパフォーマンスなネットワークが高くつくためだ。これがFoundryのいうように、競合たちの価格に対して1/20の投資で構築できるとなると、そうしたことを考慮できる。これでユーザーは、初めてITサバイバル時代を生き残れるというわけだ。

 これがさらに、2、3年後にはハーフスロット1つで40Gigabit Ethernetに対応し、2010年ごろには、フルスロットで100Gigabit Ethernetに対応する予定だとチェング副社長は述べた。「競合ベンダたちもこうした製品を投入してくるだろうが、Foundryよりも低価格で、こうしたハイパフォーマンスは実現できないだろう。ユーザーもまた、彼らが実現しうる1ポート20万ドルといった価格に対しては、とても投資できないであろう」と絶対的な自信を示す。

 Foundryはこれまで、多くの先端技術を大胆に導入したり、中止したり、の試行錯誤を繰り返し、ベストな方法を探し求めてきたという。チェン副社長が主張するようなそうした先進性が、同社の超高速イーサネット戦略に向けた、大きな自信にもなっているようだ。



URL
  米Foundry Networks
  http://www.foundrynetworks.com/

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( 真実井 宣崇 )
2005/06/14 10:38

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