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OSI会長、「オープンソースはかつて日本が経験した革新に近いもの」


オープンソース・イニシアチブ(OSI)会長兼米RedHatオープンソース担当副社長のマイケル・ティーマン氏

ティーマン氏が示した、各プラットフォームに対し攻撃を加えた後にクラッシュを起こした回数の比較
 オープンソース・イニシアチブ(OSI)会長兼米RedHatオープンソース担当副社長のマイケル・ティーマン氏は、ソフトウェア開発においてオープンソースの手法を活用した方が、ベンダー主導に比べより迅速に高品質なソフトウェアを作ることができるとの考えを、7月5日に行われた記者説明会において示した。

 ティーマン氏は、「高品質なソフトを短期間で制作するために大事なことはプロセスである」と話す。オープンソースとベンダーそれぞれのデベロッパーで、どちらが上ということはなく(ベンダーでソフト開発を担当しながらOSSに携わる人も大勢いる)、オープンソースであれば、より新しい考えをいち早く取り入れて反映でき、結果的に高品質を実現できるという。

 ティーマン氏が示した資料によると、商用UNIXやLinux、Windowsなどのプラットフォームに攻撃を行い、クラッシュを起こした回数を計測したところ、LinuxやGNUといったオープンソースが最も少なく、それらの問題も翌年には解決し実質ゼロになったという。一方、商用UNIXのうち、最も多かったのがNeXTだったという結果についてティーマン氏は「(当時CEOの)ジョブズ氏による隠ぺい主義が原因だろう」だと評す。

 また、あるソフトウェアにおいて問題が発見された場合、ベンダーは一般的に対応が迅速ではなく、「ベンダーを拝み倒すか、迂回(うかい)路を作らねばならない」とティーマン氏。しかし、オープンソースであれば、コミュニティに問題点を提起することで、多くの参加者のうちの誰か1人がいち早くコードを修正し対処してくれるという。これは「プロプラエタリな商用ソフトでは不可能なこと」(ティーマン氏)。

 オープンソースコミュニティにはおよそ30万~110万人の開発者がいると予測されており、約90%強が商用ソフトの開発経験もあるといわれていることから、そのノウハウを生かすことができるとのことだ。

 日本では近年オープンソースへの注目が高まっているが、米国などと比較するとまだ規模は小さい。ティーマン氏は「かつて日本が高品質な製品を生み出すのは無理だといわれた時期があったが、新しい考え方(プロセス)を取り入れる柔軟性があり、それを実現した。かつて日本が経験した、下の人のクリエイティビティを吸い上げていいものを作るという生産方式の変革が、(ITでは)オープンソースで実現できる」と語り、日本でのオープンソースの広まりに期待を示した。

 それでは、どんなソフトもオープンソース化すれば、そのような恩恵を受けることができるのか。ティーマン氏は、ApacheやSambaなどの陰にマイナーな「苦労している」OSSプロジェクトが幾多もあるとし、これがそれぞれどう協力し統合的な力となるかが、オープンソースの課題であるとした。



URL
  レッドハット株式会社
  http://www.jp.redhat.com/


( 朝夷 剛士 )
2005/07/05 19:22

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