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ホリエモン効果はどの程度?弥生、ライブドアグループ参加後の業績を語る


代表取締役社長の平松庚三氏
 弥生株式会社は7月8日、今後の事業戦略について記者向けの説明会を開催した。説明会には、同社代表取締役社長の平松庚三氏が出席、昨年11月のライブドアグループ参加後の相乗効果なども紹介された。

 同社の業務ソフト「弥生シリーズ」の登録ユーザー数は、2005年に50万を突破、サポート契約者数も10万を超えるなど、順調に成長している。平松氏は、「特にサポート契約者数が10万社を超えているのが大きい。継続率も85%あり、収益面でも貢献している」と説明。「登録ユーザー数50万、サポート契約者数10万をマイルストーンとしていたので、一定の成果が出たといえる」と、同社にとっても重要な成果が出た点を強調した。

 売上高については決算が控えていることから正確な数字は示されていないが、売上高で70億円前後、営業利益で30億円前後になると予想。実現すると利益率が40%となるが、「コストマネジメントとサポート&サービスという新しいビジネスモデルが利益に貢献している」と、ストック型のビジネスモデルに変化した点を利益率向上の要因とした。


登録ユーザー数とサポート契約者数の推移 業績推移

量販店での業務ソフトのシェア

弥生の既存顧客層(水色の部分)から、上の顧客層(黄色の部分)を新たに開拓する考えだ
 また、量販店での業務ソフトのシェアを見ると、本数で37%、金額で56%と他社を大きく引き離している。

 しかし、同社としては現状で満足しているわけではない。特に量販店での販売本数が全体の57%を占めているおり、量販店依存型からの脱却を模索している。同社取締役の相馬一徳氏は、「量販店の売り上げも、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ヤマダ電機の3社で半分近くを占めており、他の量販店との差が開いている」と、危機感を募らせている。

 これを改善するために、ライブドアのリソースを利用する方法を進めようとしている。「具体的には、ライブドアデパートへの出店など、ECチャネルの強化を行う予定。また、中規模企業向けの弥生NEの拡販のために、販売チャネルの構築も課題」と、従来の量販店中心から、販売チャネルの拡大を進めたい考えだ。

 特に同社が期待しているのは、中規模企業向けにネットワーク機能を強化したNE製品だ。同社の業務ソフトは従来比較的小規模企業を対象として展開していたが、30~100名規模の企業でも導入されている。そうした中規模企業からネットワーク対応製品を求められており、今年初めてネットワーク対応の「弥生会計05 NE」を発表した。「今年は売上5000万円を、3年後には10億円を目指す」(相馬氏)と、新たな柱として力を入れている。


ライブドアとの相乗効果は?

ブランド認知度。左が非助成(知っている会計ソフト名を挙げさせる調査)、右が助成(製品を見せ、知っているものを挙げさせる調査)
 ライブドアグループへの参加について、弥生にとって大きなメリットがあると平松氏は強調する。「今年の春の(ライブドアとフジテレビの)騒動のおかげで、弥生の認知度も向上した」と平松氏は語る。今年の3月に行われたブランド認知度調査で、会計ソフトで知っている名前を挙げてもらう調査では、45%の人が弥生を挙げている。「3月というと堀江さんがフジテレビとやりあっていたので瞬間的な結果であるかもしれないが、OBCの奉行シリーズよりも高い数値になったのが非常にうれしかった」と、ホリエモン効果が如実に表れたと説明。「他社はテレビCMに何十億円もかけているわけで、テレビCMを流していない弥生が一番になるなんて、何十億円もの価値に相当した」とした。

 もちろん、こうした知名度向上だけでなく、業務面でも効果を上げつつあると説明。「たとえば、ライブドアは中国の大連に開発センターを持っているが、ここで弥生の開発を進めつつある」と平松氏は語る。「重要なのは、実績のある開発センターを利用できるという点。単独で進出して開発拠点を作るとなると、費用もかかるし、なによりも言葉などの問題から成功するかどうかも不透明」と、すでにあるリソースを有効に使える点を利点として紹介。

 また、コンシューマ中心のライブドアに対し、70万社の顧客を抱える弥生は魅力的な企業であると述べ、「具体的な内容はまだいえないが、企業向けのオンラインローンのようなファイナンスでライブドアとの業務提携なども考えている」とインターネットを活かした展開を模索していると語った。



URL
  弥生株式会社
  http://www.yayoi-kk.co.jp/

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( 福浦 一広 )
2005/07/08 17:41

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