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富士通黒川社長、「ITを使って強い現場を作ることが企業の競争力の源泉に」

富士通フォーラム2005 基調講演

 富士通株式会社は7月14日と15日、東京国際フォーラムにて「富士通フォーラム2005」を開催している。初日には、同社代表取締役社長の黒川博昭氏が「新しい企業競争力の源泉 ~フィールド・イノベーションへのチャレンジ~」と題した基調講演を行った。


代表取締役社長の黒川博昭氏
 黒川氏は、少子化などによる人的資源の変化やグローバル化といった環境の変化が企業に大きな影響を与えると指摘。こうした環境変化に対応するためにも、日本企業の強みであった「現場」の力を企業の競争力の源泉にすることが必要と、「人を主役として考えることが重要」との認識を示した。

 また、ネットワーク社会への変化により、これまでの企業のビジネスモデルを変える必要も生じているとする。「20%の品目で80%の売り上げを占めるといわれている。企業はこの20%にビジネスを集中し、在庫もこの20%を中心に整理するのがいいというのが、これまでのビジネスの常識でもあった。ところが、ネットワークが発達し、コストが下がり、管理が容易になってくると、こうした常識も疑う必要がある」と述べ、米Amazonの例を紹介した。「米大手書店では13万種類の書籍を扱っているが、Amazonは230万種類の書籍を扱っている。このうち、大手書店と重なる13万種類の売り上げは同社の43%で、大手書店が扱っていない書籍が売り上げの57%を占めている」と紹介、こうした観点からも現場を見直す必要があるとした。

 こうした現場の力を引き出すために、富士通としてはさまざまなチャレンジを行っているとし、ビジネスの現場の例として同社の保守サポートを挙げた。「弊社の保守サポートは、2時間のオンサイトを目標としており、エリアカバー率で94%に達している。これをひとつの現場としてみてみると、新しい発想が生まれてくる」とし、「顧客とネットワークで結ぶことで、顧客の動きを自動収集でき、障害の予知も可能となり、結果出動回数の減少につながった」と、個別に動いていたものをネットワークで一元的に判断することで、効率化を実現したと紹介。「重要なのは、これで完成ではなく、さらに次の展開につなげること」と、ひとつの改善により、更なる発展の可能性が生まれることが大切とした。

 また生活面では、警備会社が提供しているGPSを用いたセキュリティサービスや、RFIDを用いた児童の登下校管理なども紹介。「児童の登下校管理などは、一度に多数の情報を正確に処理する必要がある」と、ネットワーク社会に対応したテクノロジーの進化も重要であるとした。

 「ユビキタス社会になると、さまざまなデバイスがネットワークにつながる。また、それらを認証する仕組みが必要であり、扱うデータ量も膨大となるため、さらなる技術の開発が必要になる」とし、ユビキタス社会に向けて開発中の最新テクノロジーを紹介した。「展示会場では、さまざまなテクノロジーを紹介しているので、ぜひ見ていただきたい。富士通は今後もテクノロジーの強い製品を作り続ける」と述べ、講演を締めくくった。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  富士通フォーラム2005
  http://forum.fujitsu.com/2005/tokyo/

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( 福浦 一広 )
2005/07/14 15:31

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