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「院内感染防止にも役立つ」ブレードPCの効能


 ブレードPCが注目を集めている。昨年国内販売を開始した米ClearCube Technologyに続き、日本ヒューレット・パッカードや日立などもブレードPCを発表するなど、選択肢も広がっている。今回、米国でブレードPCを採用したダンカン・インターナショナル病院のインフォメーション・テクノロジー&テレコミュニケーションズ部担当ディレクターのRoger L. Neal氏に、ブレードPCを導入した経緯などについて話を伺った。


クライアントPCを一括管理できるブレードPC

ClearCubeのPC Blade。1つのケージに最大8基搭載できる
 ブレードPCは、デスクトップPCやノートPCのハードウェア部分をブレード状の筐体にしラックで一括管理できるもの。専用のボックスやシンクライアントを通じてアクセスするため、本体の持ち出しが不可能となるなどセキュリティ面での効果が高い。また、一括管理するため、管理コストの低減にもつながるのが特長だ。

 ClearCubeのブレードPCも同様に、3UサイズのPC Bladeと呼ばれるブレード状の筐体をラックで一括管理し、「I/Port」「C/Port」などの専用ボックスから利用する。PC Bladeは、Xeon、Pentium 4などのインテルCPUを搭載しており、1つのケージに最大8基のPC Bladeが、ラック全体では112基のPC Bladeが収納可能となっている。国内では、テレビ朝日やイーバンク銀行、アッカネットワークスなどで採用されている。


安全性・コスト削減・スペース確保の理由からブレードPCを採用

ダンカン・インターナショナル病院インフォメーション・テクノロジー&テレコミュニケーションズ部担当ディレクターのRoger L. Neal氏
 ダンカン・インターナショナル病院では、25の診療所でClearCubeのブレードPCを2年前より採用している。採用の理由として、Neal氏は3つ挙げている。「ひとつは安全性。患者の情報を一元管理できるため、PCよりもセキュリティ面で優れています。また、ヘルスケア業界の各種規制に準拠するのにも容易でした」と安全性の向上に有効であったと話す。

 「また、コスト削減にも効果がありました。従来、トラブルが起きるとヘルプデスクは利用者のところまで行かなければなりませんでしたが、ブレードPCを採用したことで、データセンターで一元的に対応できるようになりました。減価償却という面では、PCは3年で償却しますが、ブレードPCは5年まで償却期間を延ばすことができるのです。これらを金額であらわすと、四半期で20万ドルの削減効果がありました」とブレードPCの採用により長期的なコスト削減にもつながると説明する。

 「そのほか、スペースの確保にも有効でした。ナースステーションの場合、PCのスペース分を別の用途に利用できるようになりました。また、PCの場合、ファンなどにほこりがたまるなど、衛生面でも設置場所に制約がありましたが、ブレードPCではファンなどの駆動部品がないため、院内感染の心配もなく、さまざまな場所で利用できるようになりました」と、スペースの有効活用にも効果があったという。


米ClearCubeシニア・テクノロジストのKen Knotts氏
 これらに加えて、顧客満足度を高めるための工夫をしていることも採用される理由と、米ClearCubeシニア・テクノロジストのKen Knotts氏は話す。一例として、出荷したPC Bladeの一定量をたえずストックするようにしているという。「半年に一度、PC Bladeのスペック変更を行っているが、既存製品との互換性は100%。とはいえ、顧客の多くは使用しているPC Bladeが故障した場合、新しい製品を求めず、同じ製品を求める傾向にある。こうした声に応えられるよう、つねに一定量のストックを持ち続けている」と、顧客のニーズに応えられる体制であることを強調する。

 日本HPや日立など、ブレードPCのプレーヤーは増えているが、「ブレードPCのパイオニアである弊社の製品とサービスを比較していただければ、どれが最適であるか理解していただけるだろう。そういう意味でも、競合製品が増えることはありがたいこと」(Knotts氏)と、同社製品に対して自信を見せた。



URL
  米ClearCube
  http://www.clearcube.com/

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( 福浦 一広 )
2005/07/22 13:05

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