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Check Point CEO、「統合管理の次はスマートアップグレードを提供する」

~Check Point Experience Tokyo 2005 講演

会長兼CEOのギル・シュエッド氏

Webセキュリティ製品として提供されている「Connectraアプライアンス」
 チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社は7月28日、「Check Point Experience Tokyo 2005」を東京のロイヤルパークホテルで開催した。その中で、Check Point Software Technologies(以下、Check Point)の会長兼CEO、ギル・シュエッド氏が「安全な将来の設計に向けたチェック・ポイントのセキュリティ・ビジョンについて」と題した講演を行った。

 かつては新しい存在であったインターネットも、今日ではビジネスが依存するまでに成長している。そしてネットワークが非常に高度で複雑になるにつれ、セキュリティ上の脅威もまた増してきた。これまでセキュリティの世界では、企業とインターネットなどとの「境界」のセキュリティを重要と考え、セキュリティベンダも積極的にファイアウォールをはじめとする境界型の製品を販売してきていた。

 次にやってきたのは、インフラをもっと堅牢で合理的に構築しようと考える時代だという。Check Pointでも、2003年からは将来に向けたモデルを構築しなくてはいけないと考え、第1段階として、それまでの「境界」セキュリティに加えた、「内部」「Web」セキュリティの「三本立てのソリューションを提供するようになった」(シュエッドCEO)。

 具体的には、エンドポイントを保護するクライアントPC用ソフト「Integrity」「ZoneAlarm」、内部ネットワークをセグメント化するアプライアンス「InterSpect」が内部セキュリティ製品に、Webアプリケーションを保護するApplication Inteligenceや、それを搭載したSSL-VPN製品「Connectra」がWebセキュリティ製品にあたる。

 こうした考え方が登場してきたのは、ネットワークが高度化し、さまざまなデバイスがつながった結果、一部にリスクがあればネットワーク全体が影響を受けるようになってしまったからである。しかし、攻撃のタイプが増え、さまざまな製品を組み合わせてネットワークを守ろうとした結果、それらを管理するためのコストも、ITコストを押し上げる要因になりうる。

 そこでCheck Pointでは、全体のセキュリティアーキテクチャを統合管理できる仕組みを、第2段階として製品に取り入れた。これが5月に発表された「NGX」だ。シュエッドCEOは、「市場のほとんどがポイントソリューションだが、NGXは唯一、統一のセキュリティアーキテクチャを提供でき、また管理も一緒にできる」と述べ、その完成度に自信を示した。また同CEOは、ネットワークイベントを効率的に処理するための「Eventia」を市場へ投入(国内では2月発売)したことにも触れ、管理の効率化に力を入れている点をアピールしていた。

 さらに次の目標としては、「ユニバーサルスマートアップグレード」を導入するとした。これは、すべてのソリューションを一括でアップデートできるようにするもの。現在も、最新のアクセスポリシーなどを自動で適用できる「SmartDefence」サービスである程度は提供されているが、新構想では、すべての製品に対するリアルタイムアップデートを提供することで、最新の脅威情報を、知ることも、防ぐこともできるようになるという。しかもこれは、「既知の脅威だけでなく未知の脅威も防護できるものだ」(シュエッドCEO)と述べた。


副会長のジェリー・アンガーマン氏
 また続けて行われたプレスミーティングでは、このユニバーサルスマートアップグレードについて、「セキュリティ製品がリアルタイムでアップデートできることが重要度を増してくる」と前置きし、「単なるソフトのパッチ管理ではなく、システムが脅威に対応できるようにアップデートするもの。通常は、新たな脅威が発生してから何カ月もたってハードが変わっていくが、これを導入しておくと、それにも対応できるようにシステムが動的にアップデートされる」とシュエッドCEOが補足した。

 一方、「Check Pointは大企業向けのセグメントでは強くても、SMB市場に対して遅れを取っているのではないか」との質問に対して、Check Pointの副会長、ジェリー・アンガーマン氏は「(SMB向けの)チャネル(が弱い)問題は確かにある」点を認めた。しかし、「当社のコアはエンタープライズ向けの境界セキュリティ製品だが、中小規模のネットワークに対しても強く展開している。世界的には、中規模向けのCheck Point Expressは好調だ」と反論したほか、長期的には重要な市場だと考えていること、先行他社に追いつくために、2年間、展開や教育などを進めていることなどを説明した。



URL
  チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社
  http://www.checkpoint.co.jp/
  Check Point Experience Tokyo 2005
  http://www.checkpoint.co.jp/cpx/

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( 石井 一志 )
2005/07/28 18:42

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