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IIJや日本HPら3社、SCM向けRFIDプラットフォームの開発で協業


 株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)、株式会社アイアイジェイテクノロジー(IIJ-Tech)、日本ヒューレットパッカード株式会社(日本HP)の3社は8月1日、RFID(無線ICタグを利用した情報技術)を利用した国際標準規格準拠のプラットフォームに関する共同研究・開発を行うことで協業すると発表した。研究成果をベースとし、流通する物の動きや変化をリアルタイムで情報化し活用できるグローバルSCM(Supply Chain Management)システムの早期実用化を目指す。

 3社は、IIJら世界で400社が参画するRFIDの国際標準化団体「EPC Global」が提唱する規格「EPC Global Network」に準拠したRFIDプラットフォーム構築に向けた共同研究を行うとともに、企業間や国をまたいだ国際物流分野における基盤構築技術を開発するという。

 これらの研究・開発において重要な拠点となるのが、3月に発表された日本HPらのRFIDにおける検証施設「HP RFID Noisy ラボ・ジャパン(RFID Noisyラボ)」。RFID Noisyラボは、製造や物流などの現場に近い環境でRFIDの実証実験が行える施設で、ここで共同研究や開発成果の評価・検証を行う。

 今後の計画として、まずRFIDタグのリーダー/ライターなどのハードウェア、およびERPやデータベース、ミドルウェアなどと連携するソフトウェアの評価・検証などを開始し、年内中にはRFID Noisyラボでの実用環境やEPC Global Networkのテストサービスを構築、2006年1月ごろよりエンドユーザーへのEPC Global Network検証環境を提供していく予定としている。さらに「来年の後半から再来年のはじめあたりにはEPC Global Networkが実際に稼働する予定」であるという。


研究成果をベースとするリアルタイムSCMシステムのイメージ EPC Global Network

 こうした取り組みにおいて、IIJと日本HPは互いのリソースを補完できる関係にあったことから今回の協業に至ったという。日本HPマーケティング統括本部インダストリマーケティング本部の三宅信一郎氏は、RFID Noisyラボや、自社においてプリンタ事業など一部においての導入経験があることから、RFIDにおけるITインフラを持ち、さらにRFIDの特性をアプリケーションレベルで業務に活用できる「Adaptive ITインフラ」技術が、日本HPにはあるという。

 一方、IIJにはEPC Globalやアパレル関連をはじめとした実証実験プロジェクトへの参画、またインターネットの根幹技術へのかかわりといったネットワークインフラにおいて大きなアドバンテージがあるとのこと。


RFIDへの取り組みにおける日本HPの位置づけ IIJの位置づけ

IIJ代表取締役社長 鈴木幸一氏
 IIJ代表取締役社長の鈴木幸一氏は「物の流れがネットワークで管理できることはインターネットが始まったころからの一番大きなテーマだった」と、こうした取り組みの重要性を語った。さらに「目先の利益を考えるといかがなものか、もうけるというより社会貢献に近いかもしれないが、それはインターネットにも同じことがいえた。こうしたプラットフォームがどういうビジネスを生むか具体的にはわからないが、ここでリーダーシップをとることで、IIJにも日本HPにも大きなプラスになる」と、直近の利益ではなく、その後の展開を見据えた取り組みであることを説明した。




URL
  株式会社インターネットイニシアティブ
  http://www.iij.ad.jp/
  株式会社アイアイジェイテクノロジー
  http://www.iij-tech.co.jp/
  日本ヒューレットパッカード株式会社
  http://www.ho.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.iij.ad.jp/pressrelease/2005/0801.html

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( 朝夷 剛士 )
2005/08/01 18:59

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