インテル株式会社は8月30日、同社のIT部門における取り組みをまとめた「インテルIT2004年パフォーマンス・レポート」を公表した。
同レポートは、全世界におけるIntelのITへの取り組み状況を公開することで、一般企業のIT部門の参考となることを目指したもの。2001年版から発行しており、今回で4回目となる。
IntelのIT部門には9379人の従業員がおり、27カ国79のIT拠点で活動している。業務対象となるシステムは、15万9000のLANノード、6万6300超のサーバー、3.2PB(ペタバイト)のストレージなどとなっている。サポート対象は、同社の12万4000人の従業員に加え、直取引の顧客やサプライヤなど。
また、ワイヤレスのアクセスポイントは4360カ所にのぼり、利用ユーザー数も4万人に達している。インテル 情報システム部部長の海老澤正男氏は、「知識労働者に関しては、ノートPCが主流となっている。日本だけを見ると99%以上がノートPCを利用している」と説明した。
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インテル 情報システム部部長の海老澤正男氏
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海老澤氏は2004年を振り返り、1)「オペレーショナル・エクセレンス」の標準を設定、2)Intelの収益性の増大に貢献、3)職場環境の改善、の3つをインテルITの戦略目標としたと説明。「ソフトウェア開発で業界標準を採用したり、社内に蓄積されるデータの再利用性を高めたり、インフラ投資ではパフォーマンスを維持しつつ通信費を削減したりといった改善を実現した。こうした投資を行いつつも、出費を抑えることに成功している」と紹介した。
収益性の増大に対する貢献については、「1ユーザーとして事業部にフィードバック」するなどし、2004年には10億ドル以上のビジネス価値を生成したと説明。また、同社のサプライチェーン管理システムやHRシステムなどのItanium 2ベースのシステムへの移行、デザインエンジニア部門が利用するCAEやCADのIAベースのシステムへの移行などにより、生産性の向上を実現。そのほか、ネットワークを利用した情報提供を行うことで、中国やロシアなど新興市場への進出を支援したことも紹介した。
ただし、システム面で効率化だけ促進しては働きにくい職場となりかねないため、「働きやすい職場を実現するため、グローバルなキャリアナビゲーションの枠組みを改善したり、対人関係を考慮した職場環境の改善なども行っている」と、効率化一辺倒にならない工夫も行っているとした。
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米Intel情報セキュリティ担当ディレクタのマルコム・ホーキンス氏
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情報セキュリティとリスク管理について米Intel情報セキュリティ担当ディレクタのマルコム・ホーキンス氏は、「外部コンプライアンス監査の実施や、9万回以上の社内監査、セキュリティイベントへの対応時間の短縮、世界20カ所のIT部門に所属する社員2000名を対象に緊急対応の社員教育の実施、内部ネットワークの保護の強化といった行動を行った」と報告。
セキュリティ教育については、なんのために取り組むのかを明確にすることが重要と紹介。「実行不可能な目標を掲げるのではなく、わかりやすく意味のある実施可能な方針を用意することが重要。それにしたがってセキュリティカリキュラムを用意し、ユーザーのトレーニングを行う。このとき徹底して実施することが重要で、ユーザーに対する通知やエスカレーションの体制を整える」ことが大切であるとホーキンス氏は説明する。
また、同社ではスマートカード認証やTPM(Trusted Platform Module)、Execute Disableなど、ハードウェアを利用したセキュリティ対策も実施しているという。「情報システムは、危険性への理解が不十分であったり、損失を数値化するモデルが存在しないなど、完全に対応することは非常に難しい。そのため、リスクをバランスよく管理することが大切」と、うまく付き合っていくことで対応する方針を示した。
■ URL
インテル株式会社
http://www.intel.co.jp/
IT@intel
http://www.intel.co.jp/jp/business/it/
( 福浦 一広 )
2005/08/30 17:01
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