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マイクロソフトが語る「モバイルソリューションを活用するには」

PDA・モバイルソリューションフェア2005 基調講演

マイクロソフト モバイル&エンベデットデバイス本部 本部長 千住和宏氏
 「モバイルを使った製品やサービスが増えているが、それらを業務にどう生かせるのか」。マイクロソフト株式会社モバイル&エンベデットデバイス本部本部長の千住和宏氏は、9月2日に都内で開催された「PDA・モバイルソリューションフェア2005」の基調講演で、こうした疑問に対する答えの方向性を示した。

 モバイル端末の多機能化や、ネットワークインフラの整備が進む中、各ベンダーからこれらを活用したモバイルソリューションの提供が活発化している。しかし「いつでもどこでも仕事ができる」などといわれても、それが具体的にどのような価値をもたらすのか、わかりにくい。

 千住氏は「モバイルソリューションの選択は、シナリオとビジネスバリューの解析が大切。技術要素だけで見ても、その価値はわからず、成功には結びつかない」と話す。つまり、どこのどんな問題を解決するのか、導入することで得られるもの(コストの削減や生産性の向上、ビジネスの拡張など)は何か、といったことをハッキリしておかなくてはならないということだ。

 そして「モバイルソリューションには“コミュニケーション型”と“プロセス型”がある」(千住氏)という。コミュニケーション型とは、メールやPIM、さらにどこからでも社内リソースにアクセスできるといった、汎用的で業務支援を目的に情報の共有やシステム化をすすめるもの。業務への実装は比較的容易だが、導入したことで得られるメリットの計測は難しい。

 プロセス型とは、業務内容からモバイルを活用できる部分を摘出し、企業プロセスの向上を目指すもの。業務内容の中から問題点を洗い出し、モバイルを導入することで、それらの解決を図る。規模が大きい上にシナリオ全体の理解が重要となり、失敗に対するリスクは大きいが、導入前と導入後の改善内容がハッキリし容易に比較できる。


 講演では、日本HPがかかわったBtoCビジネスでの3つの事例が紹介された。


飲食店の事例。専用端末ではなくPDAを利用したことでデータの更新や改良が容易となり、例えば日替わりメニューなどに柔軟に対応できるという 大型中古車販売店の例。PDA・無線LAN・RFIDを組み合わせた従来にない車両検索・情報システムにより、利便性だけでなく、顧客を楽しませることにより新たな集客に結びつけている ホテルでの事例。ネットワークインフラを整備し、情報の引き出しや従業員間の通信など複数の機能をPDAに集約し活用している

モバイルソリューションの有望業界
 マイクロソフトは8月23日に最新版のモバイル端末プラットフォーム「Windows Mobile 5.0」を発表した。アプリケーションの開発環境がVisual Studio 2005と統合され、また従来のスタイラスだけでなくQWERTYキーボードやボタンのみでの操作が可能となる端末をサポートするなど適用範囲がさらに広まることが期待できる。

 ITやモバイルソリューションは、業種によって活用されている割合や大きく異なる。社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)およびマイクロソフトの調査によると、IT投資やIWワーカーの総人口数は製造業が非常に大きな数字を示しているが、PCの所有率やモバイルワーカー人口は少ない。これに対し、情報通信・放送業においてはPCの所有率が、金融・保険、卸売・小売業においてはモバイルワーカーの割合がそれぞれ大きいという。前者は業務において業務とPCの結びつきが深く、後者は外回り営業などでのモバイル機器の利用が伸びていえる。千住氏は「これらの業種において今後モバイルソリューションの拡大が期待できる」としている。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  PDA・モバイルソリューションフェア2005
  http://www.mcpc-jp.org/pda/

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  ・ マイクロソフト、PDAなどの最新OS「Windows Mobile 5.0」を提供開始(2005/08/23)


( 朝夷 剛士 )
2005/09/02 17:39

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