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米AMDの法務担当VPが来日、「営業妨害がなければ40%以上のシェアが得られた」


米AMDの法務担当エグゼクティブバイスプレジデント兼最高総務責任者のトマス・マッコイ氏
 日本AMD株式会社は9月14日、米AMDの法務担当エグゼクティブバイスプレジデント兼最高総務責任者のトマス・マッコイ氏の来日にあわせ、6月に提起されたインテルに対する損害賠償請求訴訟の現状について説明会を開催した。

 日本AMDが提起した訴訟は2件。ひとつは、東京高裁に対して3月8日に公正取引委員会(公取委)が行った排除勧告で認定された、インテルの独占禁止法第25条への違反行為に対する損害賠償請求訴訟。もうひとつは、東京地裁に対して公取委が行った排除勧告において認定された違反行為を含め、インテルの取引・営業妨害行為から生じた損害についての損害賠償を請求するもの。

 同社取締役の吉沢俊介氏は、「7月には欧州委員会がイギリス・スペイン・イタリア・ドイツの4カ国のインテル事業所等への立ち入り調査を実施したり、8月には韓国の公正取引委員会も独占禁止法違反の疑いでインテルの韓国法人を調査中という報道がなされるなど、インテルの独占禁止法違反は日米だけでなくグローバルな行為となっている」と、全世界で同様の活動が行われていると批判した。

 マッコイ氏は、収益面でインテルがIT企業のトップにあるとし、「これまでマイクロソフトが収益性ではトップであったが、オープンソースの台頭など競争が激しくなったことの影響から、インテルがここ数年収益面でトップになっている」と、競争を阻害しているインテルが一人勝ちしていると指摘。「AMDが提訴したのは、インテルに負けたからではない。技術的にもインテルに対して優位性があると確信しており、自由でオープンな市場を求めてのものである」と、競争できる環境を取り戻すことが目的であると述べた。

 日本市場における同社の出荷台数ベースのシェアを見ると、2002年第2四半期の26%をピークに下降しており、現在は10%程度となっている。マッコイ氏は、「正しい競争が行われていれば、40~60%の間で推移していたのではないか」と説明。また、日本のPCメーカーから同社のデュアルコアプロセッサ搭載のPCがほとんど出荷されていない現状については、「PCメーカーに聞いてもらいたい。自作PCやショップブランドPCでは非常に売れている」(吉沢氏)と、現在もPCメーカーに対してインテルから圧力があるのではないかと述べた。

 今後の展開については、「米国の裁判は2006年中、もしくは2007年初めくらいには決着するだろう。日本では経験がないので、どれくらいかかるのかなんともいえない」(マッコイ氏)と、決着まで時間がかかるとした。提出予定の証拠については、「裁判の中で明らかにする予定であり、今は説明できない」と、公取委の排除勧告で認定された違反行為についても、何らかの形で提出する予定があるとした。



URL
  日本AMD株式会社
  http://www.amd.co.jp/

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( 福浦 一広 )
2005/09/14 16:04

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